サンルームは後付けできる?設置可否や事前に確認しておくことを紹介

住宅へのサンルームの後付けは、「雨の日でも洗濯物が干せる」「明るく開放的な空間が欲しい」など、多くの方が憧れるリフォームの一つです。
しかし、後付けする場合、建ぺい率や固定資産税、家の保証への影響など気になる点も多く、慎重に検討する必要があります。
サンルームを設置した後に使い勝手や費用面で後悔しないためにも、設置目的を明確にし、住宅の構造や法的な条件をしっかりと確認しておくことが重要です。
この記事では、サンルームの後付け前に確認すべきポイントや設置時の注意点を詳しく解説します。
快適なサンルームづくりの第一歩として、ぜひ参考にしてください。
サンルームを後付けする前に確認しておきたいこと
サンルームを後付けする前に、いくつかのポイントを確認しておくことが大切です。
ここでは、サンルームを後付けする前に確認しておきたい4つのポイントをご紹介します。
後付けしたい理由
まずは、サンルームを後付けする前に、「なぜ設置したいのか」を明確にすることが大切です。
リフォームには一定の費用がかかり、サンルームの場合、固定資産税が増える可能性もあります。
設置する目的やメリット・デメリットを考慮し、本当に必要か総合的に判断することが重要です。
目的によっては、テラスに囲いを付ける「テラス囲い」や、ウッドデッキにテラス屋根を追加するなど、他の選択肢も検討できます。
現在抱えているお悩みやリフォーム後に実現したいことを整理し、リフォーム会社に相談することで、最適な提案を受けられるでしょう。
建ぺい率
サンルームを後付けする際は、建ぺい率の制限にも注意が必要です。
建ぺい率(けんぺいりつ)とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合を指し、地域ごとに建築基準法によって上限が定められています。
これは、建物の安全性や風通し、採光を確保するためのものです。
サンルームの後付けは増築と見なされるため、建ぺい率が上限を超えてしまうことがあります。
違反すると建築基準法に抵触し、最悪の場合、是正指導を受けることも考えられます。
また、建築基準法違反が原因で、火災保険や地震保険が適用されなくなるリスクもあるため、事前に確認するようにしましょう。
建ぺい率の計算や測量には専門的な知識が求められるため、リフォーム会社に相談すると安心です。
家の保証内容
サンルームを後付けすることで、家の保証内容に影響が出る可能性があるため、事前に確認が必要です。
一般的に、サンルームはビスやアンカーを用いて住宅の外壁や基礎部分に固定します。
そのため、後から設置することで建物の耐久性や防水性能に影響を与え、保証が無効になるリスクも考えられます。
保証の適用外になってしまうと、万が一トラブルが発生した場合に、修理費用が自己負担になる可能性もあるため、事前に確認しておくことが重要です。
サンルームの設置が保証にどのような影響を与えるか、家を建てたハウスメーカーや工務店に確認しておくと安心でしょう。
また、サンルームの施工を依頼するリフォーム会社にも、保証を考慮した施工方法について相談することが大切です。
設置環境
サンルームの後付けを検討する際は、設置環境についても確認しておきましょう。
主に以下の点に注意し、その上でリフォーム会社に相談するとスムーズです。
・障害物の有無
・日当たりと風通し
・家事動線
・隣地への侵入
設置場所にエアコンの室外機や排水設備、給気口が近い場合、移動が必要になることや空気の流れが悪くなり、サンルーム内の快適性が損なわれる可能性があります。
また、日当たりが悪いと湿気がこもりやすく、風通しが悪いと夏場に熱がこもり、温度が上昇しやすくなります。
さらに、キッチンや洗濯機からの動線を考慮しないと、サンルームの使い勝手が悪くなることも。
日常的に利用することを考え、スムーズに移動できる場所を選ぶことが重要です。
サンルームを設置する際、設置位置によっては隣地に越境する可能性もあるため、建物外壁から50cm以上離す必要がある場合があります。境界線を事前に確認しておきましょう。
サンルームを後付けする際に決める内容
サンルームを後付けする際は、設置場所や仕様、設置方法を決める必要があります。それぞれの特徴を理解し、自宅に最適な選択をしましょう。
ここでは、サンルームを後付けする際に決める内容について詳しく解説します。
後付けする場所
サンルームは、1階または2階に後付けすることが可能です。1階に設置する場合、庭のスペースを活用することが一般的で、広い空間を確保しやすいのが特徴。
また、洗濯機が1階にある場合、動線がスムーズになり家事の負担を軽減できます。
一方、2階に設置する場合は、ベランダを囲う形で設置することが多く、外から洗濯物が見えにくく、防犯性が高い点がメリットといえます。
また、庭が狭い場合でもスペースを有効活用できる点も魅力です。
サンルームの設置場所を決める際は、家族のライフスタイルや家事動線、住宅の構造に基づいて選びましょう。

鈴与ホームパルにご依頼いただいたお客様の多くは、1階にサンルームを設置しています。
後付けするサンルームの仕様
サンルームを後付けする際は、目的に応じて必要なオプションを選ぶことが大切です。
洗濯物を干す場合は遮熱性能を高める工夫を施し、趣味やくつろぎの空間として使う場合はデザイン性や開放感を重視すると良いでしょう。
サンルームは「ガーデンルーム」とも呼ばれますが、基本的には同じ規格で作られています。
価格はオプションの有無によって異なり、デザイン性の高さや開放感を重視した折戸パネルを選ぶと、費用が高くなる傾向があります。
一般的なサンルームの費用相場は、50万~80万円ほどです。オプションを多く採用すると、100万~200万円程度かかる場合もあります。

サンルームに似た「テラス囲い」もあります。これはテラス屋根に囲いを付けるタイプで、サンルームよりもコストを抑えられます。リフォーム会社に設置の目的を伝えることで、最適な提案を受けられます。
後付けするサンルームの設置方法
サンルームの設置方法には、「床納まり」「土間納まり」「バルコニー囲い」「バルコニー納まり」の4種類があります。それぞれの特徴を参考に、設置方法を選びましょう。
床納まり

床納まりタイプのサンルームは、室内と同じような素材の床で仕上げる方法です。
床は室内と同じ高さになっており、床の下に空間ができます。部屋の延長として、スリッパを履いたまま気軽に移動できる点が特徴です。
壁面は全面囲われている場合が多いですが、半分囲いの「ハーフ囲いタイプ」や、壁面がない「オープンタイプ」も選べます。
土間納まり

土間納まりは、既存のコンクリートやタイルの床を活用して取り付けるタイプです。床下に空間がないため、猫などが住みつく心配もありません。
一般的には室内と高さを合わせますが、用途に応じて高さを下げることも可能です。
なお、設置場所が未舗装の場合は、コンクリートやタイルの施工が必要になります。
バルコニー囲い

バルコニー囲いタイプのサンルームは、主に2階のバルコニーやベランダに設置され、屋外スペースを有効活用できるのが魅力です。
ただし、設置にはいくつかの制限があり、2階以上の場合は風圧を考慮した高さ制限やバルコニーの奥行や柱位置に基準があります。
また、特殊な形状や面格子のあるバルコニーには設置できないこともあるため、事前に確認が必要です。
バルコニー納まり


バルコニー納まりは、2階に新たな屋外スペースを設けてサンルームを設置する施工方法です。
1階部分から柱を伸ばして床を支える「柱建て式」と、建物の屋根を利用して設置する「屋根置き式」の2種類の工法があります。
柱建て式は、1階の地面からしっかりと柱を立てることで強度を確保し、安定したバルコニー空間に仕上げられます。
屋根置き式は既存の屋根の強度を活かして施工するため、建物の構造に合わせた設置方法を選ぶのが大切です。
どちらの方法も、建物の壁からの奥行き寸法に基準があり、建物の条件によって設置可否が決まります。
サンルームを後付けする際の注意点
サンルームを後付けする際には、いくつかの注意点があります。
固定資産税への影響や家の外観の変化、DIYのリスク、建築確認申請の必要性などを理解しておきましょう。
ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
固定資産税がかかる場合がある
サンルームを後付けする際、固定資産税が増える可能性があることを理解しておく必要があります。
一般的に、壁や天井で囲われたサンルームは「建物の一部」として扱われ、課税対象となることが多いです。
ただし、テラス囲いなど簡易的な構造のサンルームは、課税対象外となるケースもあります。
どのタイプが課税対象となるかは、自治体によって異なるため事前に確認しておくことが重要です。
また、できるだけ税負担を避けたい場合は、リフォーム会社に相談し、税金がかからない形での施工を検討するのも一つの方法です。
住宅の雰囲気が変わる可能性がある
サンルームを後付けすることで、住宅の外観や雰囲気が変わる可能性があります。
特に、シンプルなデザインの住宅にサンルームを設置すると、一部が突出して見え、全体のバランスが崩れることがあります。
設置後に「想像と違った」と後悔しないためにも、リフォーム会社と十分に打ち合わせを行い、完成イメージをしっかり確認しておくことが大切です。
事前に具体的な完成イメージを持っておくことで、家に自然に調和するサンルームを作ることができます。
DIYは失敗のリスクがある
DIYでのサンルームの後付けは、失敗するリスクを伴うため避けたほうが良いでしょう。
基礎工事やガラスの取り扱いなど、専門的な技術を要する作業が多く、ケガの危険もあります。
仮に設置できたとしても、設置部分に不具合が生じると、外壁の劣化や住宅の雨漏りなどの問題を引き起こす可能性もあります。
そのため、大規模な作業となるサンルームの設置は、リフォーム会社など専門業者に相談しましょう。
建築確認申請が必要になる場合がある
サンルームを後付けする際、規模や設置場所によっては建築確認申請が必要になることがあります。
この申請は、増築した建築物が建築基準法や自治体の条例に適合しているかを確認するための手続きです。
一般的にサンルームが10平米(約6畳)を超えると、建築確認申請が必要となります。
サンルームの多くは10平米以下であるため、申請が不要なケースがほとんどですが、防火地域や準防火地域に該当する場合は、10平米以下でも申請が必要となる場合があります。
事前にリフォーム会社や自治体の窓口に相談し、必要な手続きを把握しておくと安心でしょう。
サンルームを後付けした事例

サンルームとウッドデッキを後付けしたことで利便性が向上し、外観が明るくリフォームされた事例です。
建物は戸建住宅で、サンルーム、ウッドデッキ、フェンスなどの工事が行われました。
建物タイプ | 戸建住宅 |
リフォーム内容 | サンルーム、ウッドデッキ、フェンスなどの工事 |

こちらは、「おばあちゃんがくつろげるスペースと作りたい」とご家族の方からご相談を受け、お部屋から直接出られるガーデンルームを設置した事例です。
建物は戸建住宅で、ガーデンルームの設置が行われました。
建物タイプ | 戸建住宅 |
リフォーム内容 | ガーデンルームを設置 |
まとめ
サンルームの後付けは、住まいの快適性を高める魅力的なリフォームの一つです。
ただし、設置前に確認すべき点が多いため、事前に建ぺい率や設置環境、住宅の保証内容をチェックすることが大切です。
サンルームの仕様や設置場所によって、使い勝手や費用が大きく異なるため、設置目的に応じた最適な選択が求められます。
さらに、サンルームの後付けには固定資産税の増加や住宅の外観の変化などの影響も考慮するべきです。また、DIYでの設置はリスクが高いため、リフォーム会社に依頼する方が安心でしょう。
サンルームの後付けリフォームで検討している方は、鈴与ホームパル様にご相談ください。
設置の目的に応じて、費用や維持管理の面も考慮し、満足できるリフォームをサポートいたします。