【2024年版】屋根の葺き替え工事で活用できる助成金・補助金制度
屋根リフォームのうち、既設の屋根を撤去して新しい屋根材を設置する「葺き替え工事」を検討されている方はいませんか。
屋根の葺き替え工事には数百万円の費用がかかるため、できる限り費用を抑えたいという方は少なくありません。
そこで検討したいのが、国や自治体の助成金・補助金制度です。今回は、屋根の葺き替え工事で活用できる制度を3つご紹介します。併せて、利用時の注意点も見ていきましょう。
屋根の葺き替え工事の費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
屋根の葺き替え工事の費用相場はどれくらい?費用の抑え方も紹介 >>
屋根の葺き替え工事で活用できる助成金・補助金制度
屋根の葺き替え工事で申請可能な助成金・補助金制度は、主に次の3つです。
・長期優良住宅化リフォーム推進事業制度
・住宅・建築物安全ストック形成事業
・自治体独自の補助金・助成制度
以降で各制度の詳細をご紹介しますが、要点をまとめると以下のようになります。
制度名 | 補助額 | 補助対象 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業制度 | 対象工事費の1/3(上限:100万~250万円) ※リフォームの種類などによる上限の定めあり | ・屋根の軽量化 ・瓦の交換(下地を含む) ・瓦の交換(下地を含まない) ・足場の設置 |
住宅・建築物安全ストック形成事業 | 対象工事費の23% (上限:83.8万円/戸 多雪区域は100.4万円/戸) | ・耐震診断 ・補強設計 ・耐震改修、建替え ・耐風改修等 |
自治体独自の補助金・助成制度 | 自治体ごとで異なる | 自治体ごとで異なる |
長期優良住宅化リフォーム推進事業制度
長期優良住宅化リフォーム推進事業制度は、既存住宅の長寿命化や省エネ化と、子育て世帯の住環境の整備を目的にリフォーム費用の一部を補助するもので、国土交通省が実施しています。
2024年度の実施については未発表であるものの、ほぼ毎年度実施されているため、今年も実施される可能性が高いです。
ここでは参考として、2023年度の屋根リフォームに関する内容をご紹介します。
補助額 | 対象工事費の1/3(上限:100万~250万円) ※リフォームの種類などによる上限の定めあり ※防災性の工事は補助上限額15万円 |
補助対象 | ・インスペクションで指摘を受けた箇所のリフォーム ・屋根の軽量化・瓦の交換(下地を含む) ・瓦の交換(下地を含まない) ・屋根換気棟設置(屋根の張替えと合わせた利用も可能) ・足場の設置 |
補助条件 | ・インスペクション(建物状況調査)を行うこと ・リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること ・リフォーム後の住宅が一定基準を満たしていること ・本事業が定める必須工事を行うこと |
申請期限 | 通年申請タイプ:2023年5月8日~2024年2月29日 事前採択タイプ:2023年7月中旬~2023年12月22日 ※2024年度は未発表 |
ホームページ | https://www.kenken.go.jp/chouki_r/ |
この制度には必須工事と任意工事があり、必須工事は補助を受けるうえで必要となる工事のこと。屋根の葺き替えに関する工事はどれも必須工事であるため、条件はクリアしていることになります。
では、具体的にどの工事にどのくらいの補助額が設定されているか気になりますよね。屋根の葺き替えにおける補助対象工事と補助額は以下のとおりです。
工事の分類 | 屋根の葺き替え工事に関する補助対象 | 補助額(工事単価) |
その他の性能向上 | インスペクションで指摘を受けた箇所のリフォーム | 補修:600円/㎡ 張替え(下地含む場合):10,500円/㎡ 張替え(下地含まない場合):7,200/㎡ |
足場の設置 | 900 円/㎡ | |
耐震改修 | 屋根の軽量化 | 10,500円/㎡ |
防災性の向上 | 瓦の交換(下地を含む) | 10,500円/㎡ (補助上限は15万円) |
瓦の交換(下地を含まない) | 7,200/㎡ (補助上限は15万円) | |
特定またはその他性能向上 | 屋根換気棟設置 (屋根の張替えと合わせた利用も可能) | 22,800円/箇所 |
補助額の算出方法は、「工事単価を積み上げた額×1/3」です。屋根の面積を、一般的な住宅の屋根面積80~100㎡と仮定し、屋根の軽量化を行なったケースでシミュレーションしてみましょう。
工事単価を積み上げた額は、屋根面積80~100㎡×補助額10,500円/㎡で、84万~105万円になります。そこに1/3を乗じた額が補助額となるため、84万〜105万円×1/3で、補助額は28万~35万円となる仕組みです。
インスペクションの実施などにかかる費用の補助も受けられます。
住宅・建築物安全ストック形成事業
住宅・建築物安全ストック形成事業は、住宅・建築物の安全性や耐震性を向上するリフォームにかかる費用の一部を補助するものです。
国土交通省の事業ですが、地方公共団体を経由する間接補助という補助金制度に分類されるため、お住まいの自治体によって実施の有無は異なります。
詳細は未定ですが、2024年度予算案では「拡充・延長」とされているため、今年度も実施されるものと考えられます。以下に過去の内容をまとめましたので、参考にしてみてください。
補助額 | 国と地方で23% (上限:83.8万円/戸、多雪区域は100.4万円/戸) |
補助対象 | ・耐震診断 ・補強設計 ・耐震改修、建替え ・耐風改修等等 |
補助条件 | 要問合せ |
申請期限 | 要問合せ |
ホームページ | https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000073.html |
この事業では、屋根だけでなく住宅全体の耐震改修を補助対象としています。屋根に関しては、瓦屋根の耐風改修工事で申請できる可能性が高いです。
制度を利用を考えている場合は、施工会社の担当者さんや自治体のサイトなどで確認をするようにしましょう。
自治体独自の補助金・助成制度
耐震性能を上げるために屋根の葺き替え工事を行うのであれば、自治体の補助金・助成制度を利用できる可能性が高いです。
すべての自治体ではありませんが、耐震改修に関する補助制度は多くの自治体が実施しています。
ここでは一例として、2023年度に静岡県浜松市で実施された「木造住宅耐震補強助成事業」をご紹介します。
補助額 | 対象工事費の8割(上限:100万円) ※指定の条件に該当する場合は15~20万円上乗せされる |
補助対象 | 屋根の葺き替え工事など |
補助条件 | ・1981年5月31日以前に建築された木造住宅 ・申請前に耐震診断を受けること ・1階部分の上部構造評点を0.3ポイント向上させ、なおかつ1.0以上にするための耐震補強計画の策定と耐震リフォームを行うこと ・本事業支援事業者と契約を結ぶこと |
申請期限 | 記載なし ※すでに受付終了(前年度分) |
ホームページ | https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kensido/home_tochi/home/kensido/taisin/jigyou_03.html |
制度の名称や補助額などは自治体によって異なるものの、上記の浜松市の例のように、おおむね「1981年5月31日以前に建築された旧耐震基準の住宅」を対象としています。
加えて、工事を行うのは助成事業の登録事業者に限られるなど、施工会社が限定されることも多く、タイミングによっては今年度の申し込みが終了していることも。
瓦から軽量なスレートやガルバリウムなどの屋根材への葺き替えを検討されている方は、随時情報をチェックすることをおすすめします。
さっそく、お住まいの市町村のホームページを確認してみましょう。
葺き替え工事の補助金制度を活用する際の注意点
最後に、屋根の葺き替え工事で補助金制度を利用するときの注意点を見ていきましょう。特に気をつけたいポイントは以下の3つです。
・基本的に工事に着手する前の申請が必要
・予算に達成すると申請期間内でも締め切られる
・ほかの補助金制度と併用できない場合がある
基本的に工事に着手する前の申請が必要
一般的に補助金制度は、工事を始める前に申請を済ませておく必要があります。制度によっては、申請前に施工会社と契約を結ぶこと自体をNGとしている場合も。
申請手順を間違えると補助金交付の対象外となってしまうため注意しましょう。
ただし、手順は制度によって異なります。各制度のホームページをよく確認することが大切です。
補助金申請の実績のあるリフォーム会社に依頼することで、安心して進められるでしょう。
予算に達すると申請期間内でも締め切られる
補助金制度は、年度で予算や採択件数が決められています。そのため、申請期間内であっても予算に達すると、申請の受付が締め切られてしまう点に注意が必要です。
また、募集中のタイミングで申請できたとしても、必ず採択されるとは限りません。補助金の交付が確定するまでには、工事完了報告や完了検査など所定の手順を滞りなく進める必要があります。
こういった面からも、手続きを進めてくれるリフォーム会社の存在は大きいと言えるでしょう 。
ちなみに助成金の場合は、要件を満たせば原則として受給できます。
ほかの補助金制度と併用できない場合がある
複数の補助金制度を同時に利用できれば、それだけ費用負担を抑えられてお得です。しかし、補助金制度は原則として、1つの施工箇所に1つの補助金制度しか利用できません。
逆をいえば、施工箇所が異なれば、ほかの補助金制度と併用できるケースもあります。
たとえば、国の長期優良住宅化リフォーム推進事業と、自治体の耐震改修の補助金の併用は可能です。ただし、両方の制度で屋根の葺き替え工事の補助金を申請することはできません。
行いたいリフォームに対して、どの制度が最も補助額を多く受けとれるかを確認しましょう。
屋根の葺き替え工事の補助金制度まとめ
屋根の葺き替え工事で利用できる補助金・助成制度について解説しました。屋根リフォームのうち、塗装やカバー工法よりも高額な費用がかかる葺き替え工事では、特に積極的に補助金を活用したいところです。
ただ、葺き替え工事に関する補助金制度は、条件が複雑だったり必要書類が多かったりと、手間のかかることが少なくありません。
鈴与ホームパルでは、補助金を利用したリフォームを数多く手がけていますので、不明な点がありましたら、遠慮なくリフォームアドバイザーにご相談ください。
地震や台風、大雨などの自然災害は、ある日突然起こるものです。屋根が重たくて耐震性に不安がある方、屋根の耐風性に懸念のある方は、まずは耐震診断や耐風診断から始めてみてはいかがでしょうか。