断熱リフォームに活用できる補助金は?既存住宅における断熱リフォーム支援事業を解説
家の省エネにつながる断熱リフォームは、一定の要件を満たせば、国や自治体から補助金・助成金を受け取れます。「できるだけ費用を抑えたい」「大規模な断熱改修をしたい」というときに、ぜひ活用したいですよね。
断熱リフォームが対象となる補助金制度はいくつかあり、リフォーム内容に応じて最適なものを選べるとよいでしょう。今回は、断熱リフォームで活用できる5つの補助金制度の特徴と、申請にまつわる注意点をご紹介します!
断熱リフォームに活用できる補助金【2022年度版】
大型改修になることも多い断熱リフォームは、補助金の対象になりやすい傾向があります。2022年12月現在、断熱リフォームが対象となる補助金制度は、主に以下の5つです。
・こどもみらい住宅支援事業
・次世代省エネ建材の実証支援事業
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧呼称「断熱リノベ」)
・地方自治体独自の補助金・助成金制度
以下で、それぞれの制度の特徴を見ていきましょう。
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業は、子育て支援および2050年カーボンニュートラルの実現という観点から、省エネ性能の高い新築住宅の取得や、既存住宅の省エネリフォームに対して補助金が交付されます。
新築は子育て世帯・若者夫婦世帯に限定される一方、リフォームはすべての世帯が対象です。
工事の分類 | 対象工事 | 補助額 |
①必須工事 | ・開口部の断熱改修 ・外壁、屋根・天井または床の断熱改修 ・エコ住宅設備の設置 | 工事内容に応じて定める額 上限30万円/戸 |
②任意工事 | ・子育て対応改修 ・防災性向上改修 ・バリアフリー改修など | 工事内容に応じて定める額 上限30万円/戸 |
対象となる工事は、断熱・省エネ関連の「必須工事」と、それ以外の「任意工事」に分類され、任意工事は必須工事と併せて行った場合に補助対象となります。
補助額は原則、一戸あたり30万円が上限です。ただし、世帯の属性や、既存住宅を購入して3ヶ月以内に工事契約をした場合は、補助上限が引き上げられます。
たとえば、子育て世帯または若者夫婦世帯が居住する住宅でリフォームした場合、最大45万円まで引き上げられます。
リフォームを検討されている方は、ぜひチェックしてみてください。
ガラス交換や内窓設置など比較的小さな改修も補助の対象に。要件のハードルもそれほど高くないので、多くの方が利用しやすい補助金です!
次世代省エネ建材の実証支援事業
高性能な断熱材や、蓄熱・調湿などの次世代省エネ建材を用いてリフォームを行う場合に活用できる補助金制度です。
改修方法は、「外張り断熱」「内張り断熱」「窓断熱」の3区分があり、それぞれ補助上限額が異なります。
改修方法 | 補助上限額(戸建て) |
外張り断熱(外壁全体を改修) | 300~400万円/戸(※1) |
内張り断熱(一部分の改修で可) | 200 万円/戸(※2) |
窓断熱(すべての窓を改修) | 150~200万円/戸(※3) |
※2:下限額は20万円
※3:外窓と任意製品を併用して改修する場合は200万円
外張り断熱と窓断熱は、原則として全部分の改修が求められます。また、いずれも制度に登録された次世代省エネ建材を使用するのが要件。建材には「必須製品」と「任意製品」があり、改修方法ごとに設定されています。
また、補助率はいずれも補助対象経費の1/2 以内です。補助上限額は地域や改修内容によって異なり、内張り断熱のみ下限額が設定されています。
比較的大きな工事が対象のため、上限額も高めです。家全体をしっかり断熱したいときに向いているでしょう。
令和4年度 次世代省エネ建材の実証支援事業 公募情報|一般社団法人 環境共創イニシアチブ>>
長期優良住宅化リフォーム推進事業
家の長寿命化や省エネ化につながるリフォームや、子育て世帯向け改修などに対する補助金制度です。
補助対象となる工事は「性能向上リフォーム工事」「子育て世帯向け改修」「三世代同居対応改修工事」「自然災害に対応する改修」の4つ。このうち、断熱リフォームは「性能向上リフォーム工事」に該当します。
工事には「評価基準型」「認定長期優良住宅型」の2つのタイプがあり、補助上限額が異なります。また、補助率はいずれも補助対象経費の1/3以内です。
工事タイプ | リフォーム後の住宅性能 | 補助上限額(戸建て) |
評価基準型 | 長期優良住宅の認定を受けていないものの、一定の性能向上が認められる場合 | 100万円/戸 |
認定長期優良住宅型 | 長期優良住宅の認定を受けた住宅 | 200万円/戸 |
補助金を受けるための主な要件は、以下の3つです。
・インスペクション(現況調査)の実施
・リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと
・リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること
なお、令和4年度は予算額に達したため、すでに申請の受付は終了しています。継続の可能性もあるので、今後の動向をチェックしましょう。
制度の名称に「長期優良住宅化」と入っていますが、評価基準型では一定の性能基準を満たせばOKです!
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
高性能な断熱材、窓や玄関ドアなどを使って、省エネ効果(15%以上)の向上が見込める断熱リフォームを行なったときに活用できる補助金制度です。
工事のタイプは、住まい全体を断熱改修する「トータル断熱」と、居間をメインに断熱改修する「居間だけ断熱」の2種類あります。「居間だけ断熱」では、居間の窓を断熱リフォームするだけで補助金対象になる点がポイントです。
「トータル断熱」「居間だけ断熱」のいずれも、補助額の上限は以下のように設定され、補助率は補助対象経費の1/3以内です。
対象となる住宅 | 補助上限額 |
戸建て(※1) | 120万円/戸 |
マンションなど集合住宅(※2) | 15万円/戸 |
※2:賃貸住宅の所有者も対象
子育て世帯や夫婦の年齢要件は一切ありません。持ち家を断熱リフォームする方であれば、どなたでも対象になります!
地方自治体独自の補助金・助成金制度
国のほか、地方自治体が独自に補助金・助成金制度を設けている場合もあります。自治体によって制度の有無や要件は異なりますが、お住まいの自治体に制度があれば、どんどん活用しましょう。
ここでは、例として東京都の「既存住宅における省エネ改修促進事業」をご紹介します。
対象工事 | 助成上限額(助成対象経費の1/3以内) |
高断熱窓 | 100万円/戸 |
高断熱ドア | 16万円/戸 |
断熱リフォームのうち、高断熱の窓やドアに特化した補助金制度になっています。窓改修は、1つ以上の居室において、すべての窓を改修することが要件です。
制度の有無は、市区町村の窓口やサイトで確認できます。また、該当の自治体に補助金や助成金があるかを調べられるサイトもあるため、参考にしてみてくださいね。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和4年度版)>>
断熱リフォームで補助金を活用する際に注意したいこと
要件を満たせばどなたも対象となる補助金制度ですが、利用の際にはいくつか注意点があります。ここでは、とくに押さえておきたい3つの注意点をご紹介します。
・常に最新の情報を確認する
・早めに準備する
・補助金を活用したい旨を担当者に伝える
常に最新の情報を確認する
補助金制度は、対象工事、補助額、申請方法などの公募要項が変更されることがあります。利用できると思ってリフォーム計画を立てても、いざ申請しようとしたら対象から外れていた、ということも起こりかねません。
補助金を活用するときは、具体的に動き出したタイミングで最新の情報をチェックするようにしましょう。調べていくうちに、新しい補助金制度が見つかることもあるかもしれません。
早めに準備する
補助金制度は申請期限が設定されています。しかし、事業の予算額に達した場合は、期限を待たずに締め切ってしまうことが少なくありません。そのため、早め早めの行動が肝心です。
公募が始まったタイミングで準備をするのではなく、それよりも前にリフォームの相談を進めておけると安心です。
また、申請したからといって必ずしも採択されるわけではありません。審査を経てはじめて交付決定となるため、余裕をもって進めることが大事です。
とくに、要件が厳しくない補助金は競争率が高いため注意しましょう。
補助金を活用したい旨を担当者に伝える
補助金の利用を検討しているのであれば、その旨を早めにリフォーム会社の担当者に伝えましょう。補助金制度の多くは、工事の契約・着工前に申請が必要となり、途中で申し出ても、手遅れというケースがあるためです。
また、早めに担当者に伝えることで、補助金の利用を前提とした最適なリフォームの提案を受けられるようになります。申請の締め切りや工事完了日などにも配慮してもらえるので、スケジュール面でも安心です。
当社では、活用できる補助金があればこちらからご案内していますが、あらかじめ教えていただけるとスムーズです。
断熱リフォームの補助金まとめ
省エネに有効な断熱リフォームは、環境省や国土交通省による国の支援を受けやすい工事のひとつです。要件はさまざまですが、受給できるケースが多いため上手に活用しましょう。
なかでも窓やドアの断熱改修は、比較的安価に行えるうえ、補助金の対象になりやすいリフォームです。少しの改修で大きな効果を実感されている方もいるため、寒さ・暑さで困っている方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。実際の施工例や経験をもとに、最適なご提案をさせていただきます。
この記事のポイント | ・改修の程度もあるが、断熱リフォームは補助金を利用しやすい傾向 ・補助金を利用する際は常に最新の情報を確認したり、 早めに準備することが大切 |