和室を洋室にリフォームする方法や費用|注意点や施工事例を紹介
和室から洋室へのリフォームを検討中の方は多いのではないでしょうか。和室は日本の伝統的な空間ですが、現代の生活スタイルに合わせて洋室にリフォームすることで、より快適で機能的な部屋を実現できます。
この記事では、和室を洋室にリフォームするメリットや費用、注意点などについて詳しく解説します。施工事例も紹介しているので、リフォームを検討中の方はぜひ参考にしてください。
和室を洋室にリフォームするメリット
和室から洋室へのリフォームする主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・高齢者がより過ごしやすい空間になる
・きれいな状態を維持しやすくなる
・家具の設置・移動が楽になる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
高齢者がより過ごしやすい空間になる
和室を洋室にリフォームすると、高齢者にとって過ごしやすい、バリアフリーな空間の実現が可能です。
洋室が過ごしやすい理由の一つとして、ベッドを使うことが挙げられます。ベッドは高さがあるぶん、床に布団を敷くよりも、横になったり立ち上がったりする際の身体への負担が少なく済むのです。加えて、朝晩の布団の上げ下ろしも必要なくなります。
また、洋室にすることで車椅子を利用しやすくなるのも大きな利点です。和室の畳は車椅子の使用に適さず、畳が傷んだり、車椅子の操作性を損なったりしやすいです。一方、洋室のフローリングであれば、車椅子でもスムーズに移動できます。
畳からフローリングに変更する際には、隣接する廊下や部屋との床の高さを揃えましょう。そうすることで、段差が解消されて転倒のリスクが減り、高齢者はもちろん小さなお子さんも安全に過ごせます。
和室から洋室へのリフォームにおいて、高齢者にとっても過ごしやすくなるという点は、特に大きなメリットといえます。
きれいな状態を維持しやすくなる
和室から洋室にリフォームすると、日々の掃除やメンテナンスの手間を軽減できます。
和室の畳は吸湿性が高く、湿気を吸収しやすいため、ダニやカビが発生しやすい環境です。畳の奥に潜むダニは、掃除機で表面を吸っても簡単には除去できません。また、カビの発生を防ぐためには天日干しが必要ですが、こちらも気軽にできることではないでしょう。
また、襖や障子は時間とともに変色しやすいため、定期的な張り替えが必要で、手間もコストもかかってしまいます。
一方、洋室のフローリングはダニやカビが発生しにくい素材でできており、掃除も簡単です。掃除機で埃を取り除き、フローリングワイパーなどで軽く拭くだけできれいな状態を保てます。
家具の設置・移動が楽になる
洋室は、和室と比べて家具の配置や移動が簡単です。
和室の場合、畳の上に重量のある家具を長時間置くと、跡がついたりへこんだりして元に戻らないことが少なくありません。また、畳の上で家具を引きずると、大きな損傷につながる可能性が高いです。
一方、洋室のフローリングは耐久性が高く、多少重みのある家具でも跡になりにくく、多少引きずった程度では目立つ傷はつかないため、ベッドやソファ、チェスト、テレビ台といった重い家具も気兼ねなく設置できます。
自分の好みの家具を自由に配置し、模様替えも楽しみたい方には洋室がおすすめです。
和室から洋室にするリフォーム内容と費用目安
和室から洋室へのリフォームは、部屋全体をリノベーションするだけでなく、畳をフローリングにするだけ、押入れをクローゼットにするだけ、襖を扉にするだけなど、部分的なリフォームも可能です。主なリフォーム内容と費用の目安は以下のとおりです。
リフォーム内容 | 費用目安 ※ | 工期目安 |
畳をフローリングに張り替える | 10~35万円 | 2~7日 |
壁や天井を洋室用に変える | 10~30万円 | 1~3日 |
押入れをクローゼットに変更する | 10~30万円 | 1~3日 |
襖(ふすま)から洋風の扉に変える | 5~20万円 | 1~2日 |
和室から洋室にリノベーションする | 40~100万円 | 7日~ |
リフォーム会社によっては、床と一緒に壁や天井のリフォームを行なうと、セット価格が適用されて割安になるケースもあります。
また、リフォームの内容によっては補助金制度を利用できる場合があります。例えば、洋室へのリフォームに伴いバリアフリー化や断熱改修を行うと、補助金の対象となることが多いです。
補助金制度については、事前に自治体のホームページや窓口で確認したり、リフォーム会社に相談したりすると良いでしょう。
畳をフローリングに張り替える
和室の畳をフローリングに張り替える場合、費用は10~35万円、工期は2~7日が目安です。
工事の際には畳をすべて剥がし、代わりに新しい床材を貼り付けます。その際、畳とフローリングの床材は厚みが異なるため、床の高さを他の部屋と揃えるための下地工事も合わせて行います。また、畳の下に断熱材が入っていない場合、断熱材の追加工事も発生するでしょう。
フローリング材には「単層(無垢)フローリング」と「複合フローリング」の2種類があり、複合フローリングの方が安価に導入できます。費用をさらに抑えたい場合は、フローリングではなくクッションフロアへの張り替えも選択肢に入るでしょう。
なお、フローリングは畳より防音性・遮音性が劣るため、隣近所への配慮が必要です。特にマンションの場合は、管理規約で防音・遮音について定められていることが多いため、事前に確認しておきましょう。
たとえば、鉛筆が転がった程度の音であっても畳とフローリングとでは響き方が異なるため、防音対策については特に気をつけたいポイントです。
壁や天井を洋室用にリフォーム
和室の壁や天井を洋室用にリフォームする場合、費用は10~30万円、工期は1~3日が目安です。リフォーム会社によっては、床のリフォームと合わせて行うことで割安になる場合があります。
壁の構造によって、既存の壁や天井に新たなクロスを張るだけで済む場合と、クロスを張る前に下準備が必要な場合があります。
和室では、柱が露出している「真壁(しんかべ)」であることが多く、洋室では柱が見えない「大壁(おおかべ)」が主流です。リフォームしたい和室が真壁の場合は、下準備が必要となるため、追加費用がかかったり、工期が少し延びたりします。
また、マンションの場合は和室であっても、既に大壁になっていることが多いです。
押入れをクローゼットにリフォーム
和室の押入れをクローゼットに変更する場合、費用は10~30万円、工期は1~3日が目安です。簡易的なリフォームから、ウォークインクローゼットのような大規模なリフォームまで、さまざまな選択肢があります。
押入れの主な用途は布団の収納であるため、そのままの状態では洋服を収納するには不便に感じることが多いでしょう。クローゼットとして使用する際は、押入れの内側の仕切りを撤去して、ハンガーパイプや棚を取り付けます。
内側だけのリフォームも可能ですが、押入れの扉を折れ戸や引き戸、開き戸などにすることで、見た目だけでなく使い勝手もよくなります。
押入れをクローゼット化するリフォーム方法や費用相場を紹介>>
襖(ふすま)から洋風の扉にリフォーム
和室の襖(ふすま)を洋風の扉に変える場合、費用は5~20万円、工期は1~2日が目安です。
費用を抑えてリフォームしたい場合や、バリアフリー化などを考慮する際は、引き戸への変更がおすすめです。引き戸であれば、開き戸のように開閉スペースを確保する必要がありません。
また、開き戸に変更する場合は枠ごと交換しなければなりませんが、引き戸であれば建具と敷居の交換のみで済むことが多いのです。
ただし、敷居と廊下との間にある段差を合わせるための調整が必要になります。また、開き戸にも気密や断熱、遮音性に優れているというメリットがあるため、最終的には重視したいポイントによって決めましょう。
和室から洋室にリノベーションする
和室全体を洋室にリノベーションする場合は、費用は40~100万円、工期は7日以上が目安です。間取りの変更が必要な場合などは工事が大規模になり、1ヶ月程度かかることもあります。
このケースでは、これまでに紹介した床や壁、天井、押入れなどのリフォームをすべて行います。それぞれ別々に実施するよりは、まとめて行ったほうが総額としては割安になりやすいです。
また、部屋全体をリフォームするのであっても、もともとあった和室の要素を部分的に活用するケースは少なくありません。例えば障子がある場合、撤去してカーテンレールを設置することも可能ですが、敢えてそのままにすることでレトロな雰囲気を楽しむ人もいます。
費用や工期も、どこからどこまで変更するのかによって大きく変動します。リフォーム会社と相談しながら決めるのが良いでしょう。
和室を洋室にリフォームする際に気をつけること
和室を洋室にリフォームする際には、いくつかの注意点があります。ここでは、住みながらリフォームすることの可否や、床材・壁材の選び方、クローゼットの湿気・結露対策など、気をつけたいポイントを紹介します。
住みながらリフォーム可能か確認する
リフォーム工事の規模によっては、仮住まいが必要になる場合があります。
和室全体を洋室に変えるような大規模なリフォームでは、リフォーム箇所以外に作業スペースも確保も必要となり、大きな音や粉塵も発生するため、住みながら工事を進めることは困難です。
また、小さなお子さんがいるなど、静かな環境が必要な場合も、仮住まいの確保を検討したほうが良いでしょう。リフォーム会社によっては、そもそも人が住んでいる状態での工事を引き受けていないところもあります。
ただし、壁紙を張り替える程度の部分的なリフォームであれば、住みながら工事できるケースも少なくありません。
床材・壁材は部屋の用途に合わせて選ぶ
床材・壁材のなかには、抗菌や防音といった機能が付いているものがあるので、リフォーム後の部屋の用途に合わせて選びましょう。
例えば、和室を洋室にリフォームして子ども部屋にする場合は、汚れが付きにくい加工や、防カビ、抗菌加工が施された壁材・床材がおすすめです。
また、フローリングは畳と比べて、音を吸収する機能が劣ります。周囲や下に音が響く恐れがあるので、新しい床材には防音性に優れたものを選ぶようにすることを推奨します。特に、2階より上の階の和室の畳をフローリング化する際には、下の階へ音が響きやすくなるため対策が必要です。
マンションの場合には、管理規約に床材に関するルールが定められていることが多いので、事前にチェックしておきましょう。
クローゼットの湿気・結露対策を忘れずにする
和室から洋室へのリフォームで、押入れをクローゼットに変更する場合は、湿気・結露対策が必須です。
押入れは断熱材を入れていないケースが多く、クローゼットは閉めていることが多いため、湿気がたまりやすいのです。また、クローゼットの中と外で断熱性能に差があると、温度差が生じ、結露が発生します。
湿気・結露はカビや傷みの原因になるため、新たに断熱材を入れたり、吸放湿性に優れた壁材を選んだりといった対策が重要です。また、空気の通り道ができるように、ルーバータイプの扉にするのも効果的です。
DIYで自分でできる範囲を考える
和室から洋室へのリフォームは、簡単なものであればDIYで行うことも不可能ではありません。ただし、自分でできる範囲と、リフォーム会社に頼む範囲については、慎重に考えましょう。
DIYでは、材料だけでなくドライバーや電動ノコギリといった工具も必要となり、一から揃えるには費用がかかってしまいます。また、プロの業者と比較して作業に時間がかかり、1ヶ月以上部屋が使えないといった事態に陥ることも考えられるでしょう。
DIYが得意で工具がある程度揃っている人や、作業する時間を十分に取れる人、あるいはどうしても費用を節約する必要がある人などは、できる範囲でDIYを検討しても良いかもしれません。
しかし、基本的にはリフォーム会社に相談することを推奨します。
電気の配線についても考える
和室から洋室にリフォームする際は、照明器具の変更による電気の配線についても考えておきましょう。
従来の和室にある照明は紐を引っ張るタイプが多く、壁に照明用のスイッチがついていないことがあります。リフォームにともない照明の交換も検討する場合は、スイッチをどうするのかも考えなければなりません。
紐つきの照明のなかには、洋室に合うようなデザインの製品も存在しています。そういった製品であれば、特に問題なく導入できるでしょう。
紐なしのタイプの照明を選ぶ場合、使い勝手を考慮すると壁に照明用のスイッチを付けるのが望ましいでしょう。壁にスイッチを付けず、リモコンでON/OFFできる照明も選択肢の一つですが、リモコンが壊れたり紛失したりすると、使えなくなってしまう点に注意が必要です。
そのあたりについても、リフォーム会社と相談しながら決めると良いでしょう。
電気の配線に関する話などは、忘れてしまいがちなことでもあります。こうした細部のところまで配慮してくれるリフォーム会社を選ぶようにしましょう。
和室から洋室に変更したリフォーム事例
実際に和室から洋室にリフォームした事例を2つ紹介します。リフォームを検討する際の参考にしてみてください。
和室から洋室へリフォーム
近くに住んでいるお孫さんの成長に伴い、快適に遊びやすい洋室へリフォームしました。
建物タイプ | 戸建住宅 |
リフォーム内容 | 畳からフローリングへ張り替え 襖から引き戸・開き戸へ変更 クロス張り替え |
和室の風合いを残しながら洋室へリフォーム
和室の風合いを残しながら、和モダンなリビングに仕上げた事例です。
建物タイプ | 戸建住宅 |
リフォーム内容 | 畳からフローリングへ張り替え 柱の塗装 クロス張り替え 押入れのあったスペースまで床を拡張 |
まとめ
和室を洋室にリフォームすると、高齢者にとって過ごしやすくなったり、掃除やメンテナンスの手間が軽減されたり、家具の配置や移動が楽になったりと、さまざまなメリットがあります。
また、部屋全体をリフォームするだけではなく、床や壁、押入れなど、部分的にリフォームを行うことも可能です。リフォームの規模により、かかる費用や工期は変動します。規模が大きい場合は住みながらの施工ができず、仮住まいが必要になる場合があります。
鈴与ホームパルでは、経験と知識が豊富なアドバイザーがお客様にぴったりのプランをご提案します。和室から洋室へのリフォームについても、ぜひご相談ください。
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