住宅をバリアフリーリフォームする必要性・工事内容・費用相場を紹介
高齢になると、住み慣れた自宅での生活にも不便や危険が伴うようになります。転倒などの事故を防ぎ、安心して暮らし続けるためには、バリアフリーリフォームが欠かせません。
この記事では、バリアフリーリフォームの必要性や、工事内容、検討する際のポイントについて、それぞれ説明します。ご家族の安全と快適な暮らしのために、ぜひ参考にしてください。
バリアフリーリフォームは必要?
バリアフリーリフォームは、事故のリスクを減らし、自立した生活を送るための環境を整えることを目的としたリフォームです。高齢者や障がいのある方にとって必要不可欠といえるでしょう。ここでは、バリアフリーリフォームが必要な理由と、おすすめな人について、それぞれ説明します。
バリアフリーリフォームが必要といえる理由
バリアフリーリフォームは、家庭内の事故リスクを下げることにつながります。
高齢者は家庭内における不慮の事故で亡くなることが少なくありません。厚生労働省の人口動態統計(※)によると、令和5年に家庭内で転倒・転落・墜落して亡くなられた方は全部で2709人で、そのうちの約89%を65歳以上が占めています。
死因として最も多いのは、滑り、つまづき、よろめきによる同一平面での転倒です。次いで、階段やステップからの転倒・転落がそれに続きます。
家庭内での転倒や転落は、命が助かったとしても骨折や頭部外傷などの大けがを負い、介護が必要な状態になってしまうことも少なくありません。
バリアフリーリフォームを実施することで、このような事故を防げる可能性が高まります。
不慮の事故を防ぐだけでなく、その人が自立した日常生活を続けられる環境を整えることが、バリアフリーリフォームの本質的な意義です。
リフォームの必要性が高い人・おすすめな人
バリアフリーリフォームは、介護が必要な方や、車いすを利用する方、事故や病気により障がいを抱えた方にとって、必要性が非常に高いものです。一方、これらに該当する人が家族にいない場合、「今のところは必要ない」と考える方も少なくないでしょう。
しかし、事故や体調の変化は予測がつかないものです。必要性を感じてから慌ててリフォームを行うと、業者選びや計画が十分に行えず、納得のいく結果にならない可能性も考えられます。余裕のあるうちから早めに検討を始めることが安心に繋がります。
以下のようなケースに当てはまる方は、バリアフリーリフォームの前向きな検討がおすすめです。
・つまずくことが増えた
・階段の上り下りがきつく感じる
・浴室の床で滑りそうになった経験がある
・手すりや杖がないと不安に感じる
・老後に備えて安全な住環境を整えたい
実際に鈴与ホームパルへバリアフリーリフォームの相談をいただく理由で最も多いのは、介護が必要になったタイミングなど、必要に迫られた場合です。
自宅での事故が原因で介護が必要になる事態を未然に防ぐためにも、「この頃つまずくことが多い」など、日々の生活の中で感じる些細な変化や気付きを大切にし、早めに計画を立てることが大切です。
バリアフリーリフォームの工事内容
バリアフリーリフォームには、以下のように目的に応じてさまざまな工事内容があります。
■「ケガや事故を防止」するリフォーム
・段差の解消
・床材の変更
・温度差の解消
■「自立を支援」するリフォーム
・ドアの変更
■両方に当てはまるリフォーム
・手すりの設置
・水回り設備の入れ替え
・間取りの変更
・和室から洋室へリノベーションする
それぞれの費用相場や工事内容、事例などについて、以下で詳しく紹介します。
段差の解消
【費用の目安】3~25万円
家の中の段差を解消することで、足腰の負担を軽減したり、つまずいて転倒するリスクを抑えたりできます。車椅子での移動も楽になるでしょう。
床材の変更
【費用の目安】5~20万円
滑りにくい床材や衝撃を吸収する床材に張り替えることで、転倒や転倒時のケガのリスクを抑えられます。とくに水を扱うキッチンや洗面所は床が濡れて滑りやすいため、対策が必要です。
手すりの設置
【費用の目安】2~15万円
手すりは、立ち上がる、座る、歩くといった動作をサポートし、転倒しそうになった際には即座に身体を支える役割も果たします。設置することで、日常の移動がしやすくなり、転倒のリスクを大幅に軽減できます。
使う人の背丈や動線を考慮し、トイレや浴室、階段、廊下など、必要な場所に適切な長さで設置しましょう。設置費用は、設置場所や範囲によって異なります。
■手すりを設置した事例
ドアの変更
【費用の目安】10万~50万円
開き戸は開け閉めで身体を前後移動するので、高齢者や身体が不自由な方、車いすの方にとって使い勝手が良いとはいえません。
引き戸に変更すれば腕だけで簡単に開け閉めができ、前後移動が不要になるため、つまずきのリスクが軽減され、使い勝手も向上します。また、スペースが確保しやすいため、介護する側の利便性にもつながるでしょう。
ただし、引き戸は扉を引き込むスペースが必要になるので、間取りによっては設置が難しかったり、追加の工事費用が発生したりする場合もあります。
水回り設備の入れ替え
【費用の目安】10万~80万円
浴室、トイレ、キッチンなどの日常的に使用する水回り設備をバリアフリー対応のものに変更することで、介護される側と介護する側双方の安全性と快適性が向上します。具体的には、以下のようなリフォームが挙げられます。
場所 | バリアフリーリフォームの例 | 費用目安 |
トイレ | ・和式を洋式に変更する ・自動でフタが開く便座に変更する ・自動洗浄付きのトイレに変更する | 5万~50万円 |
浴室 | ・またぎやすい高さの浴槽にする ・在来浴槽からユニットバスに変える | 30万~130万円 |
キッチン | ・ガスコンロからIHクッキングヒーターに変更する ・バリアフリーキッチンに変更する | 30万~200万円 |
■和式トイレから洋式トイレへリフォームした事例
間取りの変更
【費用の目安】50万円~
間取りの変更は高額な費用がかかるものの、利便性や安全性を高めるうえで効果的なリフォームです。
例えば、足腰が悪く階段の上り下りが難しい場合、ワンフロアで生活できるような間取りにすると良いでしょう。また、寝室とトイレを近い位置にすれば、夜間にトイレへ行くときに転倒する危険性を抑えられます。
間取り変更にかかる費用は、元々の間取りや変更する箇所によって異なるので、リフォーム業者に相談するのがよいでしょう。
■リビングを中心とした動線へ間取りを変更した事例
和室から洋室へリノベーションする
【費用の目安】40万~100万円(6~8畳の場合)
バリアフリー化を考えるなら、和室は洋室にリフォームするのがおすすめです。
例えば、車椅子は畳よりもフローリングのほうがスムーズに移動できます。また、和室の場合は畳の上に布団を敷いて眠ることになるのが基本ですが、ベッドのほうが起き上がる動作が楽だったり、布団の上げ下げが不要になったりします。
さらに、和室の押し入れは奥行きが深いため、物の出し入れに負担がかかりやすいです。クローゼットに変更すれば取り出しもスムーズになるでしょう。
■和室から洋室へリフォームした事例
和室を洋室にリフォームする方法や費用|注意点や施工事例を紹介>>
バリアフリーリフォームのポイント
バリアフリーリフォームを成功させるためには、いくつかのポイントに気をつける必要があります。ここでは、予算と優先順位の決め方、業者選びのコツ、補助金制度の活用方法について説明します。
予算と優先順位を決める
バリアフリーリフォームの工事内容を紹介しましたが、これらをすべて行なうとなると、高額な費用がかかってしまいます。リフォームによる支出が生活の負担とならないよう、必要性の高いリフォームを見極めましょう。
ご本人が日常生活で感じている不便さや、家族が抱えている安全面での不安を話し合うと、優先順位の高い改善点が見えてきます。例えば、「最近つまづくことが多い」と感じている場合には、手すりの設置を優先的に行うのが良いでしょう。
さらに、将来的な状況変化も考慮すると、長期的な視点で効果的なリフォーム計画を立てることができます。リフォーム業者に相談し、専門的な視点でのアドバイスを受けることもおすすめです。
鈴与ホームパルでは、お客様との会話やヒアリングをもとに、リフォームアドバイザーが最適なリフォームをご提案させていただきます。
実績が豊富なリフォーム業者に依頼する
バリアフリーリフォームは通常のリフォームとは違い、住む人や介助する人の安全性や利便性を重視しなければなりません。バリアフリーの知識や、豊富なリフォームの経験が必要です。
十分な知識と経験を持つリフォーム業者に依頼すれば、悩みに対して適切なリフォーム方法やプランを提案してもらえるでしょう。依頼先を選定する際には、事例写真を見せてもらったり、実際にリフォームした物件を見学させてもらったりして、経験や技術力をチェックすることをおすすめします。
鈴与ホームパルには、高齢者や障がいを持つ方が安心して暮らせる住環境を提案する「福祉住環境コーディネーター」が在籍しています。専門知識を持つコーディネーターが、日常生活の不便や安全面の課題を丁寧にヒアリングし、個々の状況に応じた最適なリフォームプランを提案します。
利用できる補助金制度をチェックしておく
バリアフリーリフォームは補助金制度を利用できる場合があります。
例えば、介護保険における住宅改修では、要支援・要介護の認定を受けた者が自宅のバリアフリーリフォームをするとき、最大18万円を上限に補助を受けられます。手すりの設置や段差の解消、扉の変更などが対象です。
ただし、この補助金制度を利用するには、リフォームの必要性を証明する書類を、ケアマネジャーなどの専門家に作成してもらう必要があります。担当のケアマネジャーがいる場合には、その方にまず相談してみましょう。
国または自治体独自で補助金制度を設けている場合もあるので、ホームページや窓口で確認・相談してみましょう。または、リフォーム業者に利用できる補助金制度がないか相談するのもおすすめです。
まとめ
事故のリスクを減らし、自立した生活を送るための環境を整えるバリアフリーリフォームは、高齢者や障がいのある方にとって必要不可欠なものです。段差の解消や手すりの設置、水回り設備の変更など、目的に応じてさまざまな工事内容があり、費用も異なります。
リフォームを検討する際は、優先順位を決めて計画的に進めることが大切です。また、経験豊富な業者選びや補助金制度の活用も重要なポイントです。
鈴与ホームパルでは、経験と知識が豊富なアドバイザーが、お客様のご希望やご予算に応じたプランをご提案します。バリアフリーリフォームを検討していて、どの部分を改修するか悩んでいる方はお気軽にご相談ください。
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