二重窓のデメリットとは?メリットも併せてチェックしよう
二重窓とは、既存の窓の室内外にもう1つ窓を取り付けて、窓を二重にすることをいます。二重窓に関する情報として、「冬の室内が暖かくなる」「結露が減る」など、良い情報はたくさん入ってくるものです。
しかし、なぜ効果があるのか、設置して不便になることはないのか、といった疑問に対する回答は、それほど広く知れ渡っていません。
そこで今回は、二重窓のデメリットとメリットの両方を詳しく解説します。双方を知ったうえで、後悔のない選択をしていきましょう。
二重窓のデメリット
はじめに、二重窓のデメリットについて見ていきましょう。二重窓を設置して、デメリットになり得ることは主に以下の4つです。
・窓の開閉に手間がかかる
・掃除が大変
・部屋が狭く感じる場合がある
・窓枠にものが置けなくなる
窓の開閉に手間がかかる
窓が2枚になることで、開閉時の手間が2倍になります。頻繁に出入りするベランダや、都度換気したい浴室などの窓を二重窓にすると、ストレスを感じることがあるかもしれません。
また、二重窓ではペアガラスを採用することが多く、1枚ガラスに慣れている方は「窓が重たい」と感じることも。
気温が安定している日や、二重窓を閉める必要がない日は、内側の窓を開けっ放しにしておくと面倒臭さを回避できます。
ショールームなどで実際に二重窓に触れておくといいでしょう。
掃除が大変
窓が2枚になることで、掃除の手間も多少増えます。ただ、窓ガラスに関しては、汚れやすいのは外に面している既存の窓のみです。そのため、窓ガラスを拭く手間は設置前とそれほど変わりません。
汚れが溜まりやすいのが、砂埃が入りやすい桟(さん)の部分。二重窓にすると、既存の窓と新しい窓の2つの桟の掃除が必要になります。
後述しますが、二重窓にすると結露を予防できます。毎日水滴を拭く手間と比べれば、掃除の手間はそれほど気にならないという方もいらっしゃるでしょう。
部屋が狭く感じる場合がある
二重窓を設置したお客様からいただく声として多いのが、「部屋が少し狭くなったように感じる」というものです。
二重窓は、既存の窓の内側に取り付けます。室内側に窓が出っ張るかたちになるため、実際に部屋の有効面積は少し狭くなります。出っ張りは7cm程度のことですが、見慣れた部屋の印象が変わることは確かです。
また、場合によっては窓がカーテンに干渉してしまうことも。この場合、カーテンが窓に当たらないよう、室内側にカーテンを出す必要があるため、さらに部屋が狭く感じることがあるかもしれません。
設置後の部屋の雰囲気をイメージしておくことがポイントです。
窓枠にものが置けなくなる
腰高窓や出窓の場合、窓台に小物や鉢植えを飾っている方もいらっしゃるでしょう。二重窓を設置すると窓台のスペースが減るため、物を置けなくなることがあります。
浴室など収納が少ない場所では、子どものおもちゃなどを窓台に置いている方も少なくありません。別の収納場所を考えておくと安心です。
二重窓のメリット
続いて、二重窓のメリットを見ていきましょう。主なメリットは以下の5つです。
・断熱効果を得られる
・電気代の節約につながる
・結露対策に有効
・防音効果が期待できる
・防犯効果がある
新しいサッシになったことで、部屋の印象が変わった、部屋が明るくなったという声をいただくことも多いです。
断熱効果を得られる
家の中で最も熱の出入りが激しい場所が窓です。つまり、窓を断熱構造にすれば、非常に高い断熱性能を得られることになります。
二重窓で断熱できる仕組みは、「空気層」「樹脂製サッシ」で熱伝導を防ぐことにあります。
まず、窓を二重にすることで、窓ガラスと窓ガラスの間に空気の層ができます。さらに、新しく取り付ける窓ガラスをペアガラス(Low-E複層ガラス)にすることで、1枚のガラスの中にも空気の層ができます。これらの空気層が断熱材のような役割を果たし、室外の温度の影響を室内に伝えにくくしてくれるのです。
そして、サッシを熱伝導率が低い樹脂製にすることで、窓全体で外気温の影響を受けにくい環境をつくります。
夏の冷房時は7割以上、冬の暖房時は5割以上の熱が、窓などの開口部から流入出しているといわれています。
電気代の節約につながる
二重窓で室外と室内の熱伝導を防ぐことで、冷暖房効率が上がります。冬の暖房の効きはもちろん、夏の冷房の効きも格段にアップ。一年を通して電気代の節約につながります。
温暖な地域では、冬に暖房をつけなくても過ごせる日があるほど。電力価格が高騰するなか、この点を重視して二重窓を設置する方が増えてきている印象です。
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結露対策に有効
窓の結露は、室外と室内の気温差が大きく、室内の湿度が高いときに発生する現象です。二重窓で外と内の気温差を小さくすることで、結露を防ぐことが可能になります。
ただし、室内の湿度が高すぎる場合は、二重窓にしても結露が生じることがあります。とくに浴室など湿気が多い場所、冬に加湿器を多用する場所では、完全に結露を防げないことも。換気をして湿気を逃す、空気を循環させるなどの工夫が必要です。
結露を放置すると、カビの発生や木材の腐食を招きます。結露を見つけたら、早めに対処することをおすすめします。
二重窓で結露を防げる理由や、二重窓にしても結露が発生してしまう理由は、こちらの記事で詳しく解説しています。
二重窓が結露対策に有効なのはなぜ?結露が発生した場合の対策も解説>>
防音効果が期待できる
熱の流入出を抑える二重窓は、音の流入出にも一定の効果を発揮します。断熱材のような役割を果たす空気層が、音の伝播を減少させてくれるためです。
ただし、二重窓には「防げる音」と「防げない音」があります。防げない音は、地面や壁を振動させて伝わってくる固定伝播音と呼ばれるものです。たとえば、集合住宅などで上階から響く足音などが該当します。
防音対策として二重窓を設置するときは、どういった騒音を解決したいかを明確にすることがポイントです。
二重窓の防音効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
防犯効果がある
警察庁の「住まいる防犯110番」によると、戸建てにおける空き巣の侵入口として最も多いのは窓。手口としては、「無施錠」に次いで「窓破り」が多いという結果です。
二重窓にすると、鍵と窓ガラスが二重になるため防犯効果が期待できます。とくに、ガラスを2枚割らなければ侵入できない環境は、空き巣が嫌がる家の特徴の一つ。二重窓は防犯面を強化したい方にとってもメリットがあります。
二重窓の施工に関するよくある疑問
ここでは、二重窓を検討されている方によくいただく質問をまとめました。我が家にも設置できるのか知りたい、できるだけ費用を抑えて設置したいという方は、ぜひ参考にしてください。
後付けはできる?
二重窓は基本的に後付けが可能です。工事前に現地調査に伺い、窓を採寸し、その寸法をもとにメーカーから窓を取り寄せる流れとなります。
ただし、なかには設置できない窓、設置が難しい窓もあります。たとえば以下のような窓の場合、新しい窓を設置すると、もとの窓の開け閉めができなくなってしまうことがあるためです。
・内倒し窓
・内開き窓
・上げ下げ窓 など
二重窓の効果を高めるためには、部屋のすべての窓を二重窓にするのが好ましいです。現地調査の際に設置可能な窓かどうか、担当者に確認・相談するようにしましょう。
二重窓を後付けする方法や注意点については、こちらの記事でわかりやすくまとめています。
二重窓を後付けするには?後付けする方法や注意点について解説!>>
二重窓は本当に効果があるの?
窓を二重にしただけで、本当に断熱、結露防止、防音効果が見込めるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。当社が施工したお客様の大半は高い満足度を得ていらっしゃいますが、「思ったほど効果を感じなかった」という方もゼロではありません。
その原因は、施工箇所の不足や、外壁の構造などが挙げられます。対策としては、設置の目的を明確にすること、費用だけで判断しないことです。疑問があるときは、現地調査のときなどに遠慮なく担当者に聞きましょう。
当社ではお客様が適切な判断ができるよう、成功例・失敗例の両方をお伝えするようにしています。
二重窓で効果を得られない理由や、失敗しないためのコツをまとめた記事もございます。検討時には、ぜひこちらもお役立てください。
二重窓を設置して後悔することはある?リフォームを失敗しないためのコツとは>>
補助金は活用できる?
省エネ効果が高い二重窓は、要件を満たせば補助金の対象になることが多いです。2023年10月時点では、以下のような補助金制度が施行されています。
・住宅省エネ2023キャンペーン
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業 など
このほか、自治体独自で補助金制度を設けている場合も。お住まいの自治体のホームページもチェックしましょう。
二重窓の補助金制度については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【2023年版】二重窓のリフォームで活用できる補助金をチェックしよう!>>
まとめ
二重窓の設置は比較的安価に行えるうえ、設置後の満足度が高いのが特徴です。窓の開閉や掃除の手間が増えたり、部屋が狭く感じたりするなどのデメリットはありますが、それを上回るメリットがあるリフォームといえます。
断熱や防音などは目に見えない効果のため、二の足を踏む方もいらっしゃるかもしれません。不明な点がありましたら、リフォームアドバイザーがデメリットも踏まえてきちんとご説明させていただきます。少しでも興味がございましたら、ぜひ遠慮なくお声掛けください。