二重窓で防音対策がしたい!効果を高める方法はある?
外の騒音が気になるとき、二重窓の設置は有効な防音対策のひとつです。戸建て・マンションに限らず後付けができ、補助金対象にもなっていることから、検討されている方は多くいらっしゃいます。
ただし、二重窓で期待する防音効果を得るには、二重窓で音を防げる仕組みを知っておくことが大切です。今回は、二重窓で防音対策ができる理由やリフォーム時の注意点、防音効果を高める方法などをご紹介します。
二重窓で防音対策ができるのはなぜ?
まずは、なぜ二重窓を設置すると防音できるのかについて見ていきましょう。音を防げる理由がわかると、リフォームを具体的に進めやすくなります。また、二重窓には「防げる音」と「防げない音」がある点も押さえておきましょう。
窓から音が出入りしている
住宅において、最も防音性が低くなりやすいのが窓です。防音性能は素材の厚みや重みと比例するため、壁や天井、ドアに比べて厚み・重みのない窓(開口部)は、音が一番出入りする場所となります。
たとえば、一般的な木造住宅の外壁の厚さが15cm程度なのに対し、窓ガラスの厚みは3〜5mm程度です。
そのため防音対策を考えるとき、真っ先に検討したいのが窓へのアプローチ。なかでも二重窓の設置が有効です。
窓から出入りする音は、主に「ガラスを通して入ってくる音」と「サッシやレールの隙間から入ってくる音」があります。
窓の間の空間(中空層)を作れる
二重窓が防音効果を発揮する主な理由は、「窓が二重になること」にあります。
二重窓にすると、外側の窓と内側の窓の間に一定の空間(中空層)が生まれます。この中空層によって音が反射することで音エネルギーが弱まり、音の伝播を減少させてくれるのです。
また、二重窓には気密性の高い樹脂製サッシが使われているため、サッシの隙間からの音漏れも防いでくれます。さらに、複層ガラスが採用されていることが多いので、ガラスの重みによる防音効果も得られます。
中空層がクッションの役割をしているということですね!
空気伝播音に効果が期待できる
防音対策に有効な二重窓ですが、すべての音を防げるわけではありません。
二重窓で防げる音(空気伝播音) | ・車の走る音 ・人の声や動物の鳴き声 など |
二重窓で防げない音(固体伝播音) | ・重機などで地面を掘っている音 ・集合住宅の上階の足音や椅子を引くときの音 など |
二重窓で防げる音は、空気を介して伝わってくる音=空気伝播音です。音の大きさによりますが、二重窓にすることで一定の防音効果を得られます。一方、地面や壁を振動させて伝わってくる音=固体伝播音を防ぐことは困難です。
固体伝播音に悩んでいらっしゃる方が二重窓を設置すると、むしろ逆効果になることがあるので注意しましょう。二重窓で室内の防音性が高まっているため、侵入してきた固体伝播音の逃げ場がなく、音が部屋の中で反射し、設置前より音が大きく感じることがあります。
二重窓のリフォームは、どんな音を防ぎたいのかがポイントです。
二重窓に防音効果がないと感じる理由については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
騒音の種類
騒音のレベルによっても、必要な防音対策や期待できる効果は異なります。今お困りの騒音がどの程度のものなのか、下の表で確認してみましょう。
二重窓を設置しても、完全に音のない状態(0db)になることはありません。
防音目的で二重窓を設置する際に知っておきたいこと(注意点)
防音対策で二重窓を設置するときは以下の3つを意識すると、リフォーム後の満足度が高まります。
・防ぎたい音を明確にする
・ショールームで防音効果を体験してみる
・窓以外の場所の防音対策も行う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
防ぎたい音を明確にする
前述したように、二重窓には防げる音と防げない音があります。そのため、まずは悩んでいる騒音の種類を明確にしましょう。
それをリフォーム会社の担当者に伝えれば、二重窓でどのくらいの効果が期待できるか、あるいは窓以外の対策が必要なのかがわかってくるはずです。
当社のお客様が悩んでいる騒音として多いのは、車や電車、ピアノの音、病院の近くにお住まいの方は救急車のサイレン音などです。歩行者信号機の音が気になるという方もいらっしゃいました。
ショールームで防音効果を体験してみる
音の感じ方は個人差が大きいため、体験してみないとわからない部分があるものです。メーカーのショールームでは防音効果を体験できることが多いので、実際に確かめてみることをおすすめします。
体験することで家族の合意を得やすくなったり、「イメージと違った」という後悔を減らしたりすることにもつながります。
設置の仕方や、二重窓の重さなども確認できますね!
窓以外の場所の防音対策も行う
窓は音の出入りが激しい場所ではありますが、窓以外にも音の侵入経路はあります。
たとえば、換気口。換気口も開口部の1つですから、音の出入りがあります。対策方法としては、防音タイプの換気口に交換したり、既存の換気口に吸音材を設置したりする方法があります。
また、築年数の古い住宅では、壁の遮音性が低いケースも少なくありません。壁に断熱材が入っていない、あるいは少ない場合は、壁に厚みがないため音が伝わりやすくなっています。この場合は、内外装の防音対策も考えたほうがいいでしょう。
二重窓の防音効果をより高める方法
せっかくリフォームするのなら、できるだけ防音効果を高めていきたいですよね。音の性質に応じた対策を行うことで、より防音効果を感じやすくなります。
吸音材を併用する
まずは、吸音材を併用して、音の反響を抑える方法です。
音が壁などの障害物に当たって跳ね返ることを反響といい、跳ね返りの分だけ、音は増幅して耳に届きます。つまり、音を跳ね返さずに吸収できる室内環境をつくれば、より聞こえる音を小さくできるということです。
そこで役立つのが吸音材です。外からの音の反響を抑えたいときは、窓と向き合う壁に吸音材を設置します。室内の音を外に漏れないようにするには、音源の近くに吸音材を置くのが効果的です。
反響は硬くてつるっとした壁があるところで起きやすく、トンネルやお風呂で音が反響するのをイメージするとわかりやすいでしょう。
異厚複層ガラスを検討する
複層ガラスの弱点を改善するために、ガラスの厚みにこだわるのも1つです。
二重窓のガラスは、断熱や結露対策のために複層ガラスが採用されていることが多いです。ただ、防音の面では、複層ガラスは特定の周波数の遮音に弱いという性質を持っています。
複層ガラスは一般的に、同じ厚みのガラスが2枚重なっているものを指します。この場合、一定の周波数の音に対して「共鳴透過」や「コインシデンス効果」という現象が生まれ、単板ガラスよりも音が増幅されてしまうことがあるのです。
この現象を避けて、より防音効果を高めるには、2枚のガラスの厚みが異なる「異厚複層ガラス」を選ぶ方法があります。詳しくは、リフォーム会社の担当者に尋ねてみるといいでしょう。
ただ、二重窓を設置することで窓の気密性が高まるため、通常の複層ガラスでも一定の防音効果は期待できます!
防音カーテンを取り付ける
二重窓を設置したうえで、さらに防音カーテンで窓を覆う方法もあります。
防音カーテンは、音を遮断したり、跳ね返したりする機能を持つカーテンのこと。特殊なコーティングがほどこされたもの、生地を何層にも組み合わせたものなど種類が多いのも特徴です。
カーテン上部に生まれる隙間を、トップカバーやカーテンボックスで埋めると、より防音効果が高まります。
二重窓にすると、取り付けた窓の分だけ窓が厚くなるので、それを考慮してカーテンを選ぶようにしましょう。
二重窓の防音効果まとめ
二重窓は住まいの防音対策として効果を発揮しますが、防ぎたい音の種類や住まいの状況によって、効果の程度は異なります。
また、音の感じ方は人それぞれですから、鈴与ホームパルでも設置前にショールームで防音効果を体験していただくことをおすすめしています。そのうえで、二重窓の設置を希望されるのであれば、お気軽にご相談ください。現地調査を行い、最適な二重窓をご提案させていただきます。
窓リフォーム工事の費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。