防災リフォーム、何をすべき?地震・台風・停電時の対策について
地震や台風による自然災害や、火災など人的要因による事故から住まいや家族を守りたいという願いは、誰しもが持っているものです。
しかし、こうした災害に備えたリフォームを検討している方の中には、何から着手すればいいのか分からない方も少なくありません。
そこで今回は、地震・台風・火災から、それによって生じる停電・断水などのライフラインに関するリフォームについてご紹介します。防災リフォームの種類と工事のポイントを知って、暮らしの安全を確保しましょう。
災害への備えは日々の安心につながります!
防災リフォームって何?
はじめに、防災リフォームがどんな災害に対応するリフォームなのかを知っておきましょう。以下に、対象となる災害・トラブルの種類をまとめました。
・地震
・強風
・落雷
・火災
・停電
・断水
・ガス遮断
自然災害の中には大雨や洪水などの水害もありますが、これらは立地条件や住宅性能に起因する部分が大きいため、防災リフォームとは分けて考えます。
水害対策は、そもそも住宅の標準機能として備わっているものとして考えています。
防災リフォームの内容
上記で挙げた災害・トラブルに対応するリフォーム内容をご紹介します。ご自宅の状態や地域性を踏まえ、どのリフォームの必要性が高いかイメージしながら見ていきましょう。
①耐震・地震災害対策
耐震・地震災害対策は、建物と外構の2つに分かれます。以下で詳しく見ていきましょう。
建物の補強
木造住宅の耐震補強として有効なのが「壁の補強」と「屋根の軽量化(最適化)」です。具体的には以下の方法で行います。
工事の種類 | 主な方法 |
壁の補強 | ・地震の揺れを吸収する「制震装置」を設置する ・地震の揺れを面で支える「耐力壁」を取り付ける |
屋根の軽量化 | ・瓦屋根を軽量の金属屋根に取り替える |
いずれも工事の前に、耐震診断士(有資格者)による「耐震診断」を行うのが原則です。
診断の結果、壁の補強が必要か、屋根の軽量化が必要か、あるいは両方必要かを判断し、耐震計画を進めていきます。いずれの工事も、100〜150万円程度が相場です。
これら建物の耐震補強を特に重要視してほしいのが、1981年以前に建てられた住宅にお住まいの方です。
「旧耐震基準」で建てられている可能性が高く、旧耐震基準では震度6以上の地震に耐えられる性能は担保されていません。該当する方は、耐震診断だけでも行うことをおすすめします。
耐震診断は、一定の条件を満たす住宅であれば市区町村で無料診断してもらえることも。一度調べてみるといいでしょう。
外構の補強
外構の中でも、ブロック塀の老朽化が気になるといった声をよく聞きます。リフォーム方法は以下の通りです。
・既存のブロック塀を新しいものに取り替える
・既存のブロックを補強する
・既存のブロックの高さを低くする
ニュースでブロック塀が崩れている様子を見て、心配になってご相談いただくケースが少なくありません。
歩行者に被害を与える可能性もあるので、ぜひ検討したいところですね。
②台風・暴風・竜巻などの強風災害対策
台風や暴風による飛来物から、住まいや家族を守る対策も重要です。飛来物が窓ガラスを割り、大きな怪我につながる様子は想像しやすいですよね。実際、被害件数も多い印象です。
強風災害対策として、すぐに行えるリフォームは以下の3つです。
・雨戸やシャッターの導入
・防災ガラスへの取り替え
・飛散防止フィルムを張る
すでにシャッターを導入しているご家庭は多いと思いますが、防犯対策がメインの場合、1階だけに設置しているケースがほとんどです。
強風災害対策を意識するのであれば、2階・3階へもシャッターを導入しましょう。
雨戸・シャッターは電動と手動で費用が異なりますが、大きい窓で10〜15万程度、小さい窓(押し窓など)で5〜6万円程度が相場です。
防災ガラスは衝撃に強く、割れても破片が鋭利になりにくいため安全性が高いです。また、既存のガラスに飛散防止フィルムを貼るだけでも効果があります。予算と相談しながら決めていきましょう。
シャッターや窓のリフォームは、地震対策や次でご紹介する火災対策にも有効です!
③防火・火災対策
近隣で火災が発生したとき、火の粉が当たるのは「屋根」「外壁」「開口部」といった建物の外周りです。
火災対策では、これら建物の外側を構成する部分の耐火性を上げていきます。具体的には以下の方法が挙げられます。
工事の種類 | 主な方法 |
屋根の強化 | スレートや金属系など、耐火性の高い屋根にリフォームする |
外壁の強化 | 窯業系や金属系など、耐火性の高い壁にリフォームする |
開口部の強化 (玄関・窓) | 玄関に防火扉を取り付ける 窓を耐火ガラスに交換する、シャッターを取り付ける |
耐火性の高い材質には色々な種類があるため、どのような方法が適切なのかはリフォーム会社の担当者に確認しましょう。
また、細かな点を添えるとすると、換気口や軒下なども家の外を構成する部分です。防火性能を高めたい場合は、こういった部分にもこだわるとなお良いです。
そのほか、自宅内(天井)にスプリンクラーを設置する方法もあります。複数の選択肢の中から、ご自宅に合った方法を選んでいきましょう。
防火地域にお住まいの場合は、すでに防火性能を満たしている場合もあります。
④停電・断水といったライフラインの災害対策
災害時には、電気や水道などのライフラインが遮断されることがあります。万が一のときにも暮らしに支障が出ない対策は、ぜひ検討しておきたいところです。
ここでは、停電対策・断水対策についてご紹介します。
停電対策
太陽光発電システムを搭載するご家庭が増えてきました。電力会社から電力の供給が途絶えても、太陽光発電システムがあれば非常用電源として活用できます。
ただし、それは太陽が出ている間だけです。夜間に電気を使いたい場合は、昼間に発電した電力を蓄える「蓄電池」の設置が必要となります。
蓄電池の設置の費用相場は、およそ150〜180万円です。決して安くない金額ですが、以前より価格は下がってきているので、検討してみてはいかがでしょうか。
電気の供給がストップした場合に備え、オール電化のご家庭では給湯器だけガスに交換するケースもあります。
断水対策
災害時の断水対策には、主に以下の2つの方法があります。
・雨水タンクを設置する
・水道配管に専用タンクを設置する
雨水タンクとは、雨水を貯められる装置のことです。飲用には適しませんが、トイレや洗濯、植物への水やりなどに役立ちます。
断水時、特にトイレの水を流せないストレスは大きなもの。雨水タンクの設置で不便さを解消しましょう。
また、雨水タンクを設置する際は、自治体から助成金が出ることも。お住まいの自治体の制度を確認してみるといいでしょう。
そしてあまり知られていませんが、水道配管の途中にタンクを設置する方法もおすすめです。こちらは、飲用水としても利用できるため、断水時に効果を発揮することは間違いありません。
災害対策はもちろん、節水対策にもなります!
防災リフォームのまとめ
防災リフォームの種類やポイントをご紹介しました。一口に防災リフォームと言っても、さまざまな方法があることがお分かりいただけたかと思います。
防災リフォームは、暮らすうえでの不安を解消するためのリフォームとも言えます。そのため、信頼関係を築くこと、安心感を持っていただくことは、常に大切にしています。
どんな点に不安を感じているかはそれぞれ異なるもの。お客様の立場に立ち、しっかりヒアリングさせていただいたうえでご提案させていただきます。
すべて行うのは難しくても、特に不安に感じる部分をリフォームするだけでも暮らしの安心度はぐっと高まりますし、ご家族の防災意識も高まります。これを機に、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
各店舗に耐震診断士が在籍していますので、専門的なアドバイスもお任せください!
この記事のポイント | ・耐震リフォームする際は耐震診断が必要になる ・台風・暴風といった強風災害の対策として、 シャッターの導入や防災ガラスへの切り替えが挙げられる ・蓄電池や雨水タンクの設置は、停電・断水対策に効果的 |