耐震補強工事の費用は150万円前後が目安!相場について詳しく解説
耐震リフォームを検討していると、耐震補強工事にどのくらいの費用がかかるのか気になるところですよね。もともとの耐震性能にもよりますが、木造の一軒家の場合は150万円前後が目安となります。
耐震補強工事には、基礎の補強、壁や構造の補強、屋根の軽量化の3つの方法があり、それぞれに相場があります。 今回は、工事方法ごとの費用相場、住宅の条件別の費用相場について詳しく解説します。
耐震補強の価格を知ると、耐震リフォームの計画が立てやすくなります!
耐震補強リフォームにかかる費用相場
一般財団法人日本建築防災協会の調査によれば、耐震改修を行なった人の約55%の人が200万円未満で工事を行なっています。そのうち100万〜150万円の人が最も多いことから、150万円前後が耐震補強工事における平均相場といえるでしょう。
工事内容 | 費用相場(目安) |
耐震診断 | 20万~25万円 |
基礎の補修・補強 | 20万~30万円 |
壁の補強工事 | 150万~200万円 ※1ヶ所あたり:5万~15万ほど |
屋根の軽量化 | 200万~300万円 |
この150万円を主に占めるのは、壁(内壁)の補強費用と考えられます。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)が行なったアンケートでも、耐震診断をして耐震補強工事した人の中で最も多かったのが「内側壁からの壁補強(85%)」でした。
古い木造住宅は、壁の少なさや配置のバランスの悪さが耐震性能の欠点になっていることが多いです。そのため、予算との兼ね合いから優先順位をつけると、壁を補強するケースが多いと考えられます。
基礎の補強
基礎の補強では、コンクリート基礎のひび割れを改善するケースが大半です。ひびのある箇所に樹脂製の液体を注入してひびを塞ぎます。この施工にかかる費用が20万〜30万円となります。
その他、鉄板などを張って基礎の強度を高めたり、土台の木材が腐食していれば差し替えたりすることも。
建物の耐震性は基礎、壁、屋根のトータルの性能で決まります。そのため、明らかにひびが入っていたり、シロアリ被害を受けていたりする場合以外は、基礎の補強が不要のケースも少なくありません。
基礎のクラック(ひび)はご自身でも確認できます!
壁や構造の補強
耐震補強工事の肝となるのが壁や構造の補強。 筋交いを入れて壁の強度を上げたり、バランス良く配置したりすることで、大きく耐震性を向上させることができます。
また、柱の接合部を金物で堅固にする補強も重要です。阪神淡路大震災では、柱が引き抜けて倒壊につながった事例は多く報告されています。
壁や構造の補強は平均150万〜200万円ですが、100万円ほどでできるケースもあります。
当社が行なってきた耐震改修でも、壁の補強だけで済むケースは多いです。
屋根の補強
重い屋根を軽くすることでも耐震性能は上がります。地震の際、建物の頭部分が重いと遠心力が大きくなり、地震の影響を大きく受けてしまうためです。
屋根の軽量化でよく行なわれるのが、和瓦から軽量瓦や化粧スレート、金属屋根に交換する方法です。屋根材の種類やグレートにもよりますが、200万~300万円が目安となります。
屋根材の交換で、屋根の重さを1/2以下にすることも可能です。
【条件別】耐震補強の費用相場
耐震基準や建築年代、他のリフォームと組み合わせたり補助金を活用したりした場合でも費用は変わってくるものです。ここでは、住宅の条件やリフォームのシーン別の費用相場を見ていきます。
旧耐震基準の住宅の費用目安
全体の平均費用 | 約163万円 |
旧耐震の住宅の平均費用 | 約182万円 |
新耐震の住宅の平均費用 | 約145万円 |
旧耐震基準で建築された住宅は、新耐震基準で建築された住宅よりも耐震補強費用が高くなる傾向があります。上記の木耐協の調査データでは37万円の差があり、決して少なくない額です。
耐震基準は大きな地震が発生するたびに検証し、改正されています。そのため、旧耐震基準で建てられた古い家は耐震性が不足していることが多く、必然的に補強箇所は増え、耐震補強費用も高くなります。また単純に、建物の老朽化も原因になっているでしょう。
昭和56年5月以前に建てられた木造住宅は、旧耐震で建てられている可能性が高いです。
建築年代別の工事金額
建築年代 | 平均補強工事費※ |
昭和25年~30年 | 約166万円 |
昭和30年~35年 | 約164万円 |
昭和36年~40年 | 約234万円 |
昭和41年~45年 | 約185万円 |
昭和46年~50年 | 約190万円 |
昭和51年~55年 | 約171万円 |
昭和56年~60年 | 約162万円 |
昭和61年~平成2年 | 約155万円 |
平成3年~7年 | 約144万円 |
平成8年~12年 | 約113万円 |
データ引用元:木耐協 耐震診断結果 調査データ/日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
続いて、建築年代別で見ていきましょう。木耐協が昭和25年から平成12年に建築された住宅の耐震補強にかかった費用を調査したところ、全体平均は約163万円でした。
築年数が浅いほうが工事費用は安くなる傾向にあり、平成8年〜平成12年に建てられた住宅の工事費用は約113万円。一方、最も工事費用が高かったのは昭和36年〜昭和40年に建てられた住宅で、平均234万円と倍以上の工事費がかかっていることが分かります。
旧耐震基準と新耐震基準の境目にあたる昭和56年〜昭和60年の平均は約162万円です。耐震補強を検討されることの多い築40年あたりの木造家屋に住まわれている方は参考になるでしょう。
他のリフォームと一緒に行なった場合
耐震補強工事を他のリフォームと一緒に行なうこともありますよね。日本建築防災協会の調査では、 耐震補強とその他のリフォームを同じタイミングで行なったほうがお得であるという結果が出ています。
当社でも、耐震補強のみを目的にされる方よりも、他のリフォームの際に補強も併せて行う方のほうが多い傾向です。たとえば間取り変更など壁の解体を含むリフォームの際に、筋交いを入れるなどのケースがあります。
耐震リフォームとその他のリフォームを別途で行なった場合は表のとおり、プラス20万~30万円かかることがあるため、当社でも組み合わせて行うことをおすすめしています。
耐震補強を一緒に行うと工事規模は大きくなりますが、工事自体は住みながら行うことも可能です!
補助金を活用した場合の工事金額
耐震補強工事は補助金対象になることが多いです。上記の大阪府の調査によると、補助金を活用した場合の工事金額は150万〜200万未満が18%で最も多いことが分かります。
冒頭でご紹介した補強工事の平均相場は100万〜150万円でしたので、補助金相当額の工事を追加して耐震補強を行なっていると考えられます。
実際に当社でも、7割の方が補助金を使って耐震補強をされています。残りの3割の方は、補助金を使いたくても適用要件をクリアできなかったケースが多いです。
お住まいの家が補助金の対象になるのか、施工会社に確認してみるといいでしょう。
耐震補強の費用に関して知っておきたいポイント
実際に耐震補強工事を行うときは、どんな工事にどのくらいの費用がかかっているのか、あるいは費用を抑える方法はあるのかなど、いろいろ気になることがあるものです。
耐震補強の費用について押さえておきたいポイントをご紹介します。
耐震補強工事の見積もり
耐震補強工事の内訳が分かると、工事の全体像が分かってきます。ここでは、当社の見積もり項目をベースに、どんな工事をするのか見ていきましょう。
【工事の内訳】
・養生
・既存部材の撤去、処分
・必要となる資材
・施工
・塗装
・電気工事
・クリーニング など
床や壁を解体して行うことの多い耐震補強工事は、塗装や電気工事などの復旧工事が必要になってきます。また、屋根や外壁の改修であれば足場の設置も必要になりますね。
見積書に補強工事一式などまとめて書かれている場合は、内訳を教えてもらうといいでしょう。
補助金の活用
昭和56年5月以前に建築された木造住宅は、自治体の補助金制度を利用できる可能性が高いです。自治体によっては補助額上限100万円に設定しているところもあります。 補助率や上限額、適用条件は自治体によって異なるため、お住まいの自治体のサイトで確認してみましょう。
補助金の具体的な事例や適用条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
耐震補強リフォームは補助金を活用できる?事例や補助金を受けるための条件もチェック>>
その他、所得税や固定資産税の優遇措置を受けられるケースも。税制もチェックしておきましょう!
耐震補強リフォームの費用まとめ
もともとの耐震性能にもよりますが、戸建てにおける耐震補強工事は一般的に100万円を超える費用がかかるものです。しかし、過去の大震災では倒壊した家屋の下敷きになってしまうケースが多数報告されており、万が一の備えは非常に重要な役割を持っています。
備えあれば憂なし。降水確率と同じような感覚で捉えていただき備えることが、命を守ることや安心できる暮らしにつながります。
耐震補強に対する補助金や税制も充実しています。耐震性に不安を感じている方は、これを機会に耐震改修を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事のポイント | ・木造家屋の耐震補強工事の費用は150万円前後が目安 ・築年数別の費用傾向を見ると、 昭和36年〜昭和40年あたりに建てられた家高い傾向に ・他のリフォームと一緒に行なったり、 補助金を活用したりすることで費用を抑えられる |