床暖房は後付け可能!リフォーム方法や注意点について解説
「寒い季節も快適に過ごしたい」「温風の出る暖房機器は空気の汚れや乾燥が気になる」という方にとって、床暖房の設置は魅力的な選択肢です。
床暖房は、燃焼させたり風を発生させたりせずに、足元から部屋をじんわりと暖めてくれます。足元の暖かさだけでなく、床から生じた熱が壁や天井に反射することで、部屋全体を快適な温度に保てるのが特徴です。
収納場所に困らない、掃除の手間がない、長期間使用できるなど、床暖房には多くのメリットが期待できる反面、後付けを考えるときにはいくつかの注意点もあります。
床暖房の種類や設置範囲、リフォーム方法によっては想定以上に費用がふくらむ可能性もあるため、後悔のないよう、後付けは慎重に判断しましょう。
この記事では、床暖房を後付けしたい方に向けて、事前に確認しておきたいポイントや注意点を解説します。
床暖房は後付けできる?
床暖房は、新築時に設置するだけでなく、既存の戸建て住宅やマンションに後付けもできます。床材の上から重ねて張ったり、床材を一度剥がして張り替えたりと、希望に合わせたリフォーム方法を選べるほか、1・2階などの階数も基本的には問われません。
既存の床を剥がす場合、設置費用は高くなる傾向にあります。住まいのバリアフリー化や間取りの変更など、床をリフォームするタイミングでの同時施工を検討すると、費用を抑えやすくなるでしょう。
なお、マンションの場合、管理規約によって床暖房の設置が認められていないケースもあるため、事前に確認が必要です。管理規約に「床の張り替えは不可」「床材の遮音等級は〇〇以上」などの定めがあると、床暖房の後付けは難しくなります。
リフォームで床暖房を後付けする際に決める2つのこと
床暖房を後付けするにあたっては、あらかじめ以下2点を考えておく必要があります。
・設置する床暖房の種類
・床暖房の設置方法・設置範囲
いずれもリフォーム費用に影響を与える要素となるため、予算も考慮しつつ、自分自身とご家族の希望を整理してみましょう。
床暖房の種類
床暖房の種類 | 電気式/温水式の種類 | 1畳あたりのリフォーム費用目安 |
電気式 | ・PTCヒーター式 ・電熱線式 ・蓄熱式 | 5万~12万円 |
温水式 | ・ガス式 ・ヒートポンプ式 ・灯油式 | 8万~15万円 ※1 |
床暖房は、大きく「電気式」と「温水式」の2タイプに分けられ、それぞれ設備の仕組みや費用面に異なる特徴を持っています。電気式も温水式も後付けができるため、どちらのタイプを設置するのか決めておきましょう。
・電気式床暖房:電熱線が通ったパネルを床下に敷いて部屋を暖める仕組み
・温水式床暖房:床下へ設置したパイプに温水を循環させて部屋を暖める仕組み
電気式は基本的に電気で動くのに対して、温水式だと電気のほか、ガスや灯油をエネルギーとするものもあります。
費用面で比較すると、電気式は温水を作るための熱源機という設備が必要ないぶん、初期費用を抑えやすいのが特徴です。一方の温水式は、ランニングコストにあたる光熱費が電気式よりも安くなる傾向にあります。
1畳あたりのリフォーム費用相場は、電気式が5万~12万円、温水式が8万~15万円です。初期費用の負担を減らせる可能性があるのは電気式ですが、これはあくまでも一つの目安であり、設置範囲や床暖房を使用する時間によって、実際のコストは変わってきます。
リフォーム会社と相談しながら、設置環境やライフスタイルに合った床暖房を検討しましょう。
鈴与ホームパルに床暖房の後付けをご相談いただくお客様は、初期費用を抑えやすいという観点から、電気式を選ばれる方が比較的多いです。
床暖房の設置方法・範囲
新築時ではなく既存住宅に床暖房を設置する場合、「直張り」「張り替え」のどちらかの方法でリフォームを行うことになります。
・直張り:既存の床の上に床暖房機器を設置し、さらに床材を重ねて張る方法
・張り替え:既存の床を一度剥がして床暖房機器を設置し、新たな床材を張り替える方法
直張りでの設置は、既存の床を剥がす必要がないぶん費用を抑えやすい反面、床暖房を入れた部分とそれ以外の部分で、段差ができてしまうのがデメリットです。
既存の床を剥がす張り替えであれば段差は生まれず、フラットな状態を保てますが、床材を剥がすことで工事の手間が増えるほか、廃材処理のための追加費用がかかります。
床暖房は、必ずしも部屋の隅々まで敷き詰める必要はありません。床の面積に対して50~70%程度に設置すれば、十分な暖かさを確保できます。例えば、10畳ほどの部屋に床暖房を後付けする場合、5~7畳ほどの設置が目安です。
設置範囲が広くなるほど、初期費用もランニングコストもふくらみます。家具が置いてあるスペースなどもふまえて、床暖房の設置範囲に無駄が生まれないようにしましょう。
住まいのバリアフリー化を検討している、もしくはすでにバリアフリー化しているという場合、直張りでの設置は床に段差ができてしまうため、張り替えが適しています。
床暖房を後付けする際の注意点
床暖房の後付けをする際は、設置する種類・方法・範囲を考えると同時に、以下5つの注意点にも目を向けておきましょう。
・床暖房を後付けできる床材か確認する
・家の電気容量を確認する
・光熱費含む床暖房にかかる費用を把握しておく
・他の暖房器具との違いを知っておく
・窓の断熱性向上も視野に入れる
そもそも床暖房の設置が可能なのか、本当に必要なのかを判断するためのヒントに役立ててみてください。
床暖房を後付けできる床材か確認する
床材によっては床暖房の後付けに適していない可能性もあるため、既存の床との相性を事前に確認しておく必要があります。
床のリフォームとあわせて全面を張り替えるのであれば、向き不向きの心配はないものの、既存の床材を残して床暖房を直張りする場合には要注意です。なかでもクッションフロアは、温度変化によって伸縮が起きやすく、反りやふくれが生じる恐れがあります。
また、既存の床の断熱性能が低いと、床暖房を後付けしても床下に熱が逃げてしまい、部屋がなかなか暖まりません。床の見た目だけで、簡単には向き不向きを判断できないケースもあるため、リフォーム会社に確認してもらうのがおすすめです。
家の電気容量を確認する
電気を使用するタイプの床暖房を検討している方は、家の電気容量が十分かどうかも忘れずチェックしておきましょう。電気容量が足りていないと、床暖房の使用時にブレーカーが落ちてしまう可能性があるだけでなく、そもそも床暖房が使えない事態も考えられます。
もし容量が不足しているようであれば、アンペア数を上げたり、電気の契約を見直したりするなどの対策が必要です。また、分電盤にブレーカーの空きがない場合、床暖房の配線をつなげません。分電盤ごと取り換えるか、ブレーカーを増設して床暖房を使用できるようにしましょう。
光熱費含む床暖房にかかる費用を把握しておく
床暖房の後付けを考える際、初期費用はもちろん、設置後から発生し続けるランニングコストにも目を向けることが大切です。
床暖房の設置範囲や使い方は、月々の光熱費(電気代・ガス代)に大きく影響します。金銭的な負担によって床暖房の設置を後悔してしまわないよう、光熱費を含む費用目安をあらかじめ計算しておけると安心です。
初期費用を抑えやすいのは電気式ですが、ランニングコストは温水式のほうが安くなる傾向にあります。電力会社やガス会社によっては、ライフスタイルの変化に応じたお得な料金プランを選べる可能性があるため、床暖房の設置とあわせて契約内容を見直すのも一案です。
なお、温水式を選ぶ場合は、不凍液や熱源設備の交換といったメンテナンス費用も考慮する必要があります。床暖房にかかる費用が気になる方は、こちらの記事もご覧ください。
他の暖房器具との違いを知っておく
エアコンやホットカーペットといった暖房器具と床暖房の違いを知ったうえで、どの部屋をどのように暖めたいのか、ご家族の希望を明らかにしておきましょう。
床暖房は、その他の暖房器具と比べると設置工事が大掛かりになりやすいため、希望や住まいの設置環境とのマッチ度を慎重に確認しておくことが重要です。
エアコンは、できる限り短時間で室内全体を暖めたいときに適しています。ただし、暖かい空気は上のほうに溜まっていくため、足元をピンポイントで暖めたい場合には不向きでしょう。足元の暖めに特化しているのは、ホットカーペットです。
床暖房も、ホットカーペット同様に足元から暖める設備ではありますが、時間をかけて部屋全体もじんわりと暖めてくれます。家で過ごす時間が長い場合には、床暖房の後付けが適しているといえます。
窓の断熱性向上も視野に入れる
室内温度を快適に保つためには、床暖房の後付けとともに、窓の断熱性の向上も視野に入れましょう。家の中が寒いと感じる原因の一つに、断熱性能の低さが考えられるためです。とくに、窓をはじめとした開口部は熱の出入りが多くなりやすく、家の断熱性能を大きく左右します。
窓のサッシを断熱効果が期待できるものに交換したり、二重窓を設置したりなど、断熱リフォームによって熱の出入りが軽減されると、床暖房も効率的に使用できるでしょう。
また、断熱リフォームと床暖房の後付けを同時に行う場合、補助金制度を活用できるケースもあります。この点も含めて、リフォーム会社にアドバイスを求めてみてください。
室内を暖かく保ち、寒い季節を快適に過ごすために重要視したいのが、開口部となる窓の断熱性です。断熱リフォームのなかでも二重窓の設置は、窓が二重になることで物理的な侵入を防ぎやすく、防犯につながるという付加価値も得られます。
まとめ
戸建て住宅・集合住宅ともに、床暖房の後付けは可能です。ただし、マンションの管理規約などでリフォームが禁止されているケースもあるため、設置の可否をしっかりと確認しておきましょう。
床暖房の後付けを決めたら、電気式・温水式のどちらにするのか、どの範囲に設置するのか、既存の床を残すのか、張り替えるのかを考える必要があります。これらの要素は費用に影響を与えるため、ご家族の希望とライフスタイル、そして予算とのバランスを検討してみてください。
場合によっては、その他の暖房機器のほうが希望を叶えやすかったり、窓の断熱リフォームが必要になったりと、床暖房の後付けを考えるなかでは、いくつかの注意点もあります。いざ導入してから後悔することのないよう、施工実績の豊富なリフォーム会社にあらかじめ相談しておくのがおすすめです。
床暖房の後付けや家の断熱リフォームに関するご相談は、鈴与ホームパルへお気軽にお問い合わせください。
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