床暖房にかかる費用は?設置やランニングコストを解説
寒さの厳しい季節は、家の中でエアコンやファンヒーターを使用していても、足元から冷たさを感じることがあります。こうしたときに活躍するのが、足元からじんわりと部屋を暖めてくれる床暖房です。
床暖房は、床下に熱源を敷くため、設置面積によっては工事の規模が大きくなる場合もあります。規模に応じた初期費用がかかるのはもちろん、設置後も継続的な費用が発生するため、床暖房の導入を検討する際は、何にいくらかかるのか目安を知っておくと安心です。
この記事では、床暖房の設置や使用にかかる費用の相場を解説します。
床暖房の設置や使用にかかる費用相場は?
床暖房を導入するためにかかる費用は、最初の設置費用、電気代・ガス代といった月々のランニングコスト、メンテナンスにかかるコストの大きく3つです。これらの費用相場は、床暖房が「電気式」「温水式」のどちらなのかによっても変わります。
電気式は、床下に設置した発熱線やシート状の発熱体に通電させて暖めるのに対し、温水式は床下にポンプを組み込み、熱源機で加熱した温水を通して暖める仕組みです。
温水式に比べて電気式は必須となる設備が少なく、取り付け費用を抑えやすいものの、ランニングコストとなる電気代は高くなる傾向にあります。
温水式の場合、熱源機の設置費用も追加でかかるぶん、取り付け時のコストは高額になりがちです。ただし、熱源が一つあれば、複数箇所もしくは広い範囲に設置した床暖房を使用できるため、効率がよくランニングコストは抑えやすくなります。
設置費用(初期費用)
床暖房の設置時にかかる初期費用は、以下2つの要素に大きく影響を受けます。
・いつ設置するか(新築時/リフォームで後付け)
・どのタイプを設置するか(電気式/温水式)
この2点をふまえて、床暖房の設置費用を1畳あたりの目安で比較してみましょう。
【床暖房の設置費用】 | 電気式(1畳あたり) | 温水式(1畳あたり)※1 |
新築 | 5万~7万円 | 5万~10万円 |
リフォーム | 5万~12万円 | 8万~15万円 |
床暖房は、必ずしも床の全面に設置する必要はなく、部屋の面積の50~70%ほどに導入すれば十分暖かさを感じられます。このため、床暖房を設置したい部屋の広さに対して50~70%が何畳程度なのかがわかれば、大まかな費用を算出できるでしょう。
10畳のリビングを例に考えると、床暖房の設置範囲は5~7畳程度が目安です。新築時、6畳のスペースに電気式床暖房を設置する場合、初期費用はおよそ30~42万円と考えられます。
ただし、10畳のうち床暖房を設置する6畳と床暖房を設置しない4畳では、床に段差ができてしまうため、高さを合わせるための内装工事も必要です。よって、実際には床暖房そのものの設置費用以外に、プラスアルファのコストも発生します。
床暖房の設置費用の目安における下限〜上限の幅は、床のグレードによる違いです。
新築時の設置とリフォームで後付けする場合の費用の違いを、詳しく見てみましょう。
新築時
床暖房の種類 | 1畳あたりの費用目安(工事費含む) |
電気式 | 5万~7万円 |
温水式 ※1 | 5万~10万円 |
新築の戸建て住宅に床暖房を設置する場合、坪単価で見ると、温水式より電気式のほうが初期費用を抑えやすい傾向にあります。また、床暖房をどのタイミングで入れるかという点では、同一の設置範囲・床暖房の種類で比較すると、新築時に設置したほうがリフォームで後付けするより安く済みます。
新築時の設置であれば、床暖房の設置費用を住宅ローンに組み込める点も魅力といえるでしょう。
リフォーム
既存住宅をリフォームして床暖房を入れる場合、どのように設置するかでも費用が変わってきます。設置方法別の費用目安は、以下のとおりです。
床暖房の設置方法 | 1畳あたりの費用目安(工事費含む) |
直張り(既存の床の上に重ねて張る) | 5万~12万円 |
張り替え(既存の床を剥がして張り替える) | 8万~15万円 |
直張りであれば、すでに張ってある床材を剥がす必要がないため、工事の規模としては比較的ハードルが低く、工期も短く済みます。ただし、既存の床の上に重ねて設置するぶん、床暖房がある部分とない部分とで段差が生じやすく、フラットに仕上げるには対策が必要です。
既存の床を一度剥がして張り替える場合、段差が生まれる心配はないものの、直張りと比べると工事は大がかりで、工期も長くなります。床材を廃棄するための費用が発生する点も懸念材料となるでしょう。
「バリアフリー対応の部屋にしたい」「間取りを変えたい」など床のリフォームを考えるタイミングであれば、張り替えでの設置が適しています。設置方法に迷ったときは、床暖房の選び方とあわせてリフォーム会社に相談してみてください。
電気代やガス代の使用料(ランニングコスト)
床暖房の設置後には、月々の光熱費がかかります。8畳の部屋で1日8時間ほど床暖房を使用した場合、1ヶ月あたりの光熱費は下表が目安です。
床暖房の種類 | 1ヶ月あたりの使用料目安 |
電気式 | 約2,700~7,000円 |
温水式 | 約2,500~5,000円 |
床暖房の設置にかかる初期費用は、熱源機が必要な温水式のほうが高額になりやすいと説明しましたが、温水式は電気式よりも月々の使用料を安く抑えられる可能性があります。なお、電気代・ガス代といった床暖房にかかる光熱費は、外の気温や床暖房の設定温度によっても変動するものです。
外気と床暖房の設定温度の差が大きいほど、消費するエネルギーも多くなり、光熱費はふくらみやすくなるでしょう。また、ご家庭で契約している電気・ガス料金プランも、床暖房のランニングコストに深く関係しています。月々の光熱費が高いと感じている方は、契約プランを見直してみるのも一案です。
メンテナンス費用
床暖房の寿命は30〜50年とされており、一度設置した床暖房を丸ごと交換するような場面はなかなか来ないと考えられるでしょう。定期的なメンテナンスとして必要になるのは、温水式床暖房の不凍液の交換です。
温水式床暖房のメーカー・機種によっても交換頻度は変わりますが、3~5年ごとが一般的で、3万~5万円ほどの費用が発生します。また、電気や温水を作り出す熱源機の寿命は約10〜15年です。寿命を迎えそうな熱源機を交換するとなれば、20万〜40万円ほどかかるでしょう。
こうしたメンテナンス費用はもちろん、床暖房が思わぬタイミングで故障してしまった場合には、修理対応が必要です。床を剥がして修理するケースなどでは、30万円以上の出費となる可能性もあります。
不凍液の交換時期や費用は、設置した床暖房のメーカーや機種によって異なります。
床暖房の設置費用を抑える方法
床暖房に関する費用のなかでも、設備の導入にかかる初期費用は金額が大きくなりやすく、家計の負担が気になるところです。これから床暖房の設置を予定している場合、初期費用を抑えるための4つのポイントをおさえておきましょう。
電気式の床暖房を設置する
設置費用の安さを重視したい方は、電気式の床暖房を検討してみてください。とくに、部屋全体へ床暖房を入れるわけではなく、キッチンなど部分的なスペースへの設置を検討している場合、電気式は初期費用を抑えやすい傾向にあります。
温水式には欠かせない不凍液の定期的な交換も、電気式なら必要ありません。一方、温水式はランニングコストを抑えやすいというメリットがあるため、初期費用の予算と、設置後どれくらいの期間使用するのかをふまえて検討するとよいでしょう。
リンナイ株式会社による床暖房の費用比較シミュレーションでは、設置後10年以上使用するのであれば、初期費用を考慮しても温水式のほうがお得だとされています。
初期の設置費用という点では電気式床暖房の方が安く抑えられますが、電気式か温水式かを選ぶ際には生活スタイルを考えて選ぶことが大切です。
床暖房の設置範囲を減らす
上記でも触れたとおり、床暖房は部屋の面積のうち50~70%ほどに設置すれば十分な暖かさを確保できるため、必ずしも床の隅々まで敷き詰める必要はありません。
リビングのみに床暖房を入れる場合でも、家具を置くスペースなど、生活するなかで体や足が触れない場所には設置しなくてもよいでしょう。
キッチンのみ、洗面台のみといったように、部分的な設置も可能です。床暖房の設置範囲を減らすことで、初期費用だけでなく使用にかかる光熱費も抑えられます。
また、床暖房を設置すると、固定資産税の負担が増える点にも注意しましょう。床暖房のグレードや平米単価に応じて税額は変わるため、自分自身とご家族の希望を反映させつつ、無駄のない範囲で設置するのがおすすめです。
床の張り替えと同時に設置する
既存住宅に床暖房を後付けしたい場合、床を張り替えるタイミングでの同時施工を検討してみてください。リフォームとあわせて床暖房を設置すれば、費用も手間も削減しやすくなるためです。
例えばフローリングは、10年ほど使用すると老朽化が目立ちやすくなります。ペットと暮らしていたり、湿気が多かったりするご家庭だと、床材の劣化はさらに早まりかねません。張り替えのタイミングに迷っている方は、リフォーム会社にアドバイスを求めてみましょう。
その他、中古マンションなどを購入した場合も、床リフォームを視野に入れやすいタイミングです。管理規約を確認のうえで、床暖房の同時施工を考えてみてはいかがでしょうか。
鈴与ホームパルにご相談いただくお客様は、お部屋の間取り変更や床のバリアフリー化のリフォームをする際に、併せて床暖房を設置する方が多いです。
設置費用の見積もりを複数社に依頼する
リフォームで床暖房を後付けする場合には、リフォーム会社をいくつか選定し、相見積もりを依頼しておくことが重要です。複数社の見積もりを比較するなかで、費用の相場感を把握しやすくなります。
相場に対して極端に高額だったり安かったりする業者は、見積もりに不透明な点はないか、施工の品質や保証内容が十分かどうかを慎重に確認しましょう。値段の安さだけでなく、実績の豊富さ、口コミ評判、担当者の対応など、さまざまな観点から信頼性を見極める必要があります。
まとめ
床暖房にかかるコストは、導入時の初期費用、設置後のランニングコスト、メンテナンス費用の大きく3つです。床暖房のタイプが電気式と温水式のどちらなのか、新築時の設置か、リフォームで後付けするのかでも、費用の相場は変わってきます。
リフォームで後付けする場合はとくに、複数社から見積もりを取り、適正な価格で依頼できるリフォーム会社を選ぶようにしましょう。
床暖房の設置費用を極力抑えるには、電気式を選ぶ、設置範囲を減らす、床の張り替えと同時に施工するなどの工夫が効果的です。床リフォームに限らず、家の断熱改修とあわせて床暖房を導入することで、費用を抑えられたり、補助金制度を活用できたりするケースもあります。
床暖房の設置や住まいのリフォームをお考えの方は、鈴与ホームパルへお気軽にご相談ください。
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