キッチンの寸法はどのくらいが使いやすい?標準的なサイズと決めるときに意識したいポイントとは
せっかくキッチンをリフォームするなら、今よりも使い勝手がよい、快適なキッチンにしたいですよね。使いやすいキッチンにできるかどうかのカギは、「サイズ」にあります。
とくに、オーダーメイドではなくシステムキッチンにする場合、キッチン、シンク、コンロまわりのサイズは、ある程度規格が決まっています。決まった大きさのなかから、キッチンスペースや調理スタイル、家族構成に合った最適なサイズを選ぶのは、案外難しいものです。
そこでこの記事では、キッチンのリフォームを検討する際に知っておきたい、キッチンまわりのサイズについて解説します。
システムキッチンの規格サイズの考え方
まずは、システムキッチンの寸法について見ていきましょう。「数字だけ見てもピンとこない」という方は、自宅のキッチンを計測して、その数字を基準に考えるとわかりやすくなるかもしれません。
キッチン寸法①高さ
キッチンの使いやすさに直結するのが「キッチンの高さ」です。システムキッチンは一般的に、以下のパーツで構成されています。
・ワークトップ(作業台)
・シンク(流し台)
・コンロ(ガスコンロ/IHコンロ)
・収納(キャビネット)
一般的に、「キッチンの高さ」といった場合、「ワークトップの高さ」を指します。キッチンの高さは、日本工業規格(JIS)により、以下の4つに定められています。
◎日本工業規格(JIS)によるキッチンの高さ:80cm・85cm・90cm・95cm
したがって、システムキッチンも基本的には、80~95cmの5cm刻みで展開されています。このなかから自分に合った高さを選ぶには、以下のような計算式を使うといいでしょう。代表的な計算式は以下の2つです。
◎身長(cm)÷2+5cm
◎肘高-10~15cm
キッチンの高さの選び方については、下記の記事でくわしく説明しています。あわせてチェックしてみてください。
キッチンの高さは使いやすさに直結!「身長」と「肘高」を踏まえて考えよう>>
キッチン寸法②奥行き
システムキッチンの一般的な奥行きは、キッチンの種類によって下記のような違いがあります。
◎I型キッチン、L型キッチン:60cmまたは65cm
◎アイランドキッチン、ペニンシュラキッチン:80~100cm
I型、L型の場合、キッチンの前方に無理なく手が届く、65センチを選ばれる方が多くなっています。
一方、アイランドキッチンやペニンシュラキッチンは、対面で使う場合を想定し、奥行きを広めにとる方が多くなっています。ただし、奥行きを広くすると、そのぶんダイニングスペースが狭くなるので、注意が必要です。
キッチンの種類別の寸法については、後半の「【種類別】おすすめのキッチンのサイズ」で説明しています!
キッチン寸法③間口
キッチンの幅(横幅)を「間口」といいます。キッチンのサイズを決める際は、まずは間口のサイズを決め、その後、シンクやコンロ、調理スペースなどの各パーツの間口を考えるという流れになります。
I型キッチンの場合、間口は210~270cmが一般的で、15センチ刻みで選べるようになっています。なお、もっともポピュラーなのは255cmです。
255cmがもっともポピュラーなのは、4畳半から6畳のキッチンにちょうど設置できるサイズだからです。
キッチン寸法④設備まわり
続いては、シンク、コンロ、壁面収納の設備まわりの寸法を、間口を中心に見ていきましょう。
シンク
シンクの間口は70~80cm、奥行きは40cm以上が一般的です。
大きな鍋などを持っている方は、シンクの間口が広いほうが洗う際に便利です。ただし、そのぶんワークトップが狭くなるため、食材を切ったりする際に不便さを感じる可能性があります。また、シンクの横に水切りかごや据え置き食洗機を置く予定があるのなら、そのためのスペースも必要となります。
このように、シンクのサイズは、調理スペースや、水切りかご・食洗機を置くスペースにも影響されます。それぞれに最低限どれくらいのスペースが必要なのか、しっかり見極めることが大切です。
シンク横に据え置き型の食洗機を置く予定なら、間口30cm程度のスペースが必要となります。
コンロ・IHクッキングヒーター
ビルトインコンロおよびIHクッキングヒーターのサイズは、間口60~75cm、奥行き51cm前後が一般的です。
間口60cmタイプが標準ですが、大型の鍋やフライパンを使う方には75cmをおすすめします。間口が75cmあれば、大型の鍋やフライパンを火にかけたときに隣のコンロが使えなくなることもありません。
リフォームを機に調理器具の断捨離を検討している方は、リフォーム後にも使う調理器具を基準にコンロのサイズを検討するといいでしょう。
壁面収納のサイズ
壁面収納については、間口は30~90cm、奥行きは35~65cmが一般的で、多くのメーカーが、それぞれ5~15cm刻みで製品を展開しています。
収納が大きければ、たくさんの食器や調理器具をしまうことができ、キッチンがすっきりして見えます。ただ、そのぶん、通路幅が狭くなるなど、キッチン全体のスペースが狭くなるので注意しましょう。
先述のとおり、リフォームを機に断捨離する方は珍しくありません。リフォーム後に、「こんなに大きな壁面収納は必要なかったかも……」なんてことにならないよう、気をつけましょう。
【種類別】おすすめのキッチンのサイズ
キッチンは配列によって、I型、L型、ペニンシュラ、アイランドなどいくつかの種類に分けられます。この項目では、キッチンの種類ごとに、使い勝手がよいサイズを説明します。
I型キッチン
ワークトップ、シンク、コンロを1列におさめたI型キッチンは、省スペースかつコストも抑えられるのが特徴です。
I型のサイズは、間口については255cmが標準プランとなっています。このほか、165cmほどのコンパクトなものから、300cm以上のワイドなものまであります。
ちなみに、一人暮らし向けの賃貸物件に設置されているミニキッチンの場合、間口は90~150cmとなっています。
一般的な住まいの間取り・広さであれば、間口は210~270cmあたりが使いやすいでしょう。間口を広げすぎると、端から端まで移動するのが大変になってしまいます。
奥行きは60cmまたは65cmが一般的で、キッチンスペースに余裕があるのであれば、65cmがおすすめです。
奥行きを広げたい場合は、キッチンカウンターを別途造作するのも手です。
鈴与ホームパルではキッチンカウンターの造作にも対応していますので、ぜひご相談ください。
ペニンシュラキッチン
「ペニンシュラ」とは「半島」という意味で、左右の端のどちらかが壁に接しているタイプのキッチンをいいます。
間口は240~270cm、奥行きは75~100cmが使いやすいでしょう。間口300cm以上のペニンシュラキッチンもありますが、間口が広すぎると端から端に移動する際の動線が長くなり、かえって作業効率が落ちてしまう可能性があります。
奥行きがI型よりも広いのは、キッチンの手前と奥、2方向から使う状況を想定しているからです。
アイランドキッチン
「アイランド」は「島」という意味です。四方が壁と接していないため、4方向から使えます。また、圧倒的な開放感も魅力で、「いつかはアイランドキッチンにしたい」と憧れている方も多いのではないでしょうか。
一般的な広さの住まいなら、間口は240cm~270cm、奥行きは75cm~100cmのものが使いやすいでしょう。200cmほどのコンパクトタイプを用意しているメーカーもありますが、シンク、コンロ、調理スペースの間口が狭くなるため、不便さを感じてしまうかもしれません。
なお、アイランドキッチンは、ほかのタイプのキッチンに比べると費用が高めです。また、設置スペースを広くとる必要があります。リフォームでアイランドキッチンに変更したいと考えている方は、リフォーム会社と細かい部分まで相談することをおすすめします。
鈴与ホームパルでもっともよく採用されているアイランドキッチンのサイズは、間口255cm、奥行き100cmです。
L型キッチン
配列がアルファベットの「L」の形になっているL型キッチンは、作業動線が短くてすむため、根強い人気があります。
間口は、長辺(A)は180~270cm、短辺(B)は165cmまたは180cm、奥行き(C)は65cmが一般的かつ使いやすいサイズとなっています。間口や奥行きを広げすぎると、コーナー部分がデッドスペースになりやすいので注意しましょう。
L型キッチンは、冷蔵庫や壁面収納を置く場所が限定されるため、キッチン全体で見るとコの字型のレイアウトになることが多くなります。
キッチンの寸法・大きさを選ぶときのポイント
最後に、キッチンの寸法・大きさを決める際に覚えておきたいポイントを3つ紹介します。この3つをしっかりと押さえておけば、リフォーム後に、キッチンの使い勝手の悪さに悩んだり、作業効率が下がって後悔したりせずにすむはずです。
作業動線の確保
キッチンは料理するだけの場所ではありません。買ってきた食材を冷蔵庫にしまう、食器を洗って片づける、配膳するなど、さまざまな作業を行います。調理時の作業動線だけでなく、これら一連の作業の動線についてもしっかり検討しましょう。
なお、キッチンの作業動線を考える際に参考になるのが「ワークトライアングル」です。ワークトライアングルは、シンクとコンロ、冷蔵庫の3点を結んでできる三角形(トライアングル)のこと。ワークトライアングルが正三角形に近く、なおかつ、3辺の合計が360~600cmの範囲内におさまると、使い勝手がよいといわれています。
鈴与ホームパルでも、ワークトライアングルをふまえたリフォームプランをご提案しています。
先のことを考えた使いやすさ
キッチンをリフォームする際は、“将来の変化”も考慮に入れておきましょう。
たとえば、年を重ねて姿勢や身長が変化した結果、「キッチンが高くて使いにくい」と感じる人は少なくありません。また、足腰が弱くなったり、子どもが独立したりすれば、広すぎるキッチンは持て余してしまうかもしれません。
キッチンのリフォームには、それなりの費用と時間がかかります。現在の使いやすさだけでなく、将来の使いやすいも考えることが、リフォームを成功させ、長く使えるキッチンを手に入れるコツです。
ガスコンロは、五徳があるぶん、IHクッキングヒーターよりも高さが出ます。たった数cmの差ですが、案外、使い勝手に影響するものです。ガスコンロからIHに変更する、あるいは、IHからガスコンロに変更する場合は、この点も注意しましょう。
収納スペースの見直し
キッチンリフォームは、“断捨離”の絶好のチャンスです。実際、キッチンリフォームのタイミングで断捨離される方も大勢いらっしゃいます。リフォームに合わせて、収納スペースも見直してみてはいかがでしょうか。
収納スペースが減れば、作業スペースを広く確保でき、使いやすく開放的なキッチンになります。なお、収納スペースを見直す際は、“立体的な視点”で考えることも大切です。
収納スペースを含めたキッチンのサイズを考える際、平面図を参考にする方は多いはず。平面図は、キッチンを“上からの視点”で描いた図面です。けれど実際には、キッチンは立って使うものです。キッチンに立ったときの使い勝手や見た目など、“立体的な視点”から考えることも、キッチンリフォームを成功させる重要なポイントとなります。
たとえば、キッチンの吊り戸棚を活用できていないなら、リフォームを機に取り払うという選択もあります。立体的な視点を持って、「この収納スペースは、断捨離後・リフォーム後も本当に必要なのか?」と考えてみましょう。
キッチンの寸法まとめ
この記事では、キッチンリフォームを検討する際に押さえておきたい、キッチンの各パーツ・設備の寸法について解説しました。
数あるシステムキッチンのなかから、ご自宅の間取りや使い方、ライフスタイルにぴったりのサイズのキッチンを選ぶのは、なかなか難しいもの。
そんなときにぜひ頼りにしていただきたいのが、鈴与ホームパルのリフォームアドバイザーです。当社には、キッチンリフォームの経験と知識が豊富なアドバイザーがそろっています。理想のキッチンづくりを、お手伝いさせていただければ幸いです。
この記事のポイント | ・キッチンの寸法は、間取りやキッチンの種類によって 最適なサイズが異なる ・寸法を考えるときは、作業動線や収納スペースを意識する |