リフォームは確定申告すると減税できる?申請の時期や必要な書類もチェック【2022年版】
リフォームをしたとき、確定申告をすると所得税の減税を受けられることをご存じですか?減税制度は、戸建ての新築時やマンションの購入時だけでなくリフォームでも活用できるため、要点を押さえて賢く節税していきましょう。
この記事では、確定申告をすることで受けられる減税制度の種類や対象になるリフォーム工事をはじめ、申請のタイミングや必要な書類についてまとめました。併せて、固定資産税の減額についても見ていきます。
すでにリフォームを終えた方はもちろん、これからリフォームを検討されている方も要チェックです!
リフォーム後の確定申告で減税はできるの?
一定の要件を満たすリフォームをした場合、確定申告をすることで所得税の減税措置を受けられます。
以降で詳しくご紹介しますが、住宅ローン・リフォームローンを利用した場合は最長10年にわたり所得税が控除され、自己資金で支払った場合は、工事年分の1年間の所得税が控除されます。
確定申告というと会社員の方は馴染みがないかもしれませんが、工事費用によって大きな節税効果を得られることがあるため、しっかりと準備して手続きすることをおすすめします。
確定申告が必要なのは初年度のみとなり、2年目以降は会社で受けられる年末調整でもOKです!
リフォーム後の確定申告で適用される2つの制度
2022年3月現在、リフォームで利用できる所得税の減税制度は2つあります。住宅ローン(リフォームローン)を利用した場合に適用される制度と、住宅ローンの利用の有無に関わらず適用される制度です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
税制改正により、2022年以前・以後で制度の要件が異なる点もチェックしましょう。
住宅ローン減税
住宅ローン減税(住宅ローン控除)は、10年以上の住宅ローンを利用し、適用対象となるリフォームを行なったときに利用できる減税制度です。具体的には、年末時点の住宅ローンの残高×控除率の金額が、最長10年にわたり所得税から控除されます。
2022年度の税制改正により、控除率が1%から0.7%に引き下げられました。2021年にリフォームした場合と、2022年以降にリフォームした場合とで控除される金額が変わる点に注意しましょう。
主な適用条件 | ・住宅ローンの返済期間が10年以上 ・リフォーム工事費が100万円を超える |
控除額と控除期間 | ・年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除 ・控除期間は最長10年 |
対象のリフォーム | ・耐震リフォーム ・バリアフリーリフォーム ・省エネリフォーム ・同居対応リフォーム ・長期優良住宅化リフォーム ・増築 |
家を買ったときに利用できるイメージが強い住宅ローン減税ですが、リフォームでも活用できます!
特定のリフォームに対する減税
住宅ローンを利用しないでリフォームをしたときでも、所得税の減税措置を受けられます。2022年の税制改正により、従来の「ローン型減税」「投資型減税」という制度を統合し、一部要件を緩和して、延長されています。
具体的には、対象となるリフォームの工事費用の10%を、工事年分の所得税から控除するというものです。
控除の対象となる工事費用には一定の上限がある点と、工事費用は実際にかかった金額ではなく、国土交通省が定めた「標準的な工事費用」が基準になる点に注意しましょう。
主な適用条件 | ・自己資金によるリフォームを行なった場合 |
控除額と控除期間 | ・工事費用の10%を所得税から控除(上限あり) ・工事年分の1年 |
対象のリフォーム | ・耐震リフォーム ・バリアフリーリフォーム ・省エネリフォーム ・三世代同居リフォーム ・長期優良住宅化リフォーム(耐震、省エネ、耐久性など) |
対象のリフォームについては、次の項目で詳しくご紹介します!
確定申告で減税対象になる主なリフォーム内容
ここでは、さきほどご紹介した特定のリフォームに対する減税制度で対象となるリフォーム内容について見ていきます。
下記は、対象となるリフォームそれぞれの、居住年、控除対象となる工事費用の限度額、控除率の一覧です。なお、制度の適用期間は2022年4月1日〜2023年12月末日までとされています。
対象工事 | 居住年 | 控除対象限度額 |
耐震リフォーム | 2022年・2023年※1 | 250万円 |
バリアフリーリフォーム | 2022年・2023年 | 200万円 |
省エネリフォーム | 2022年・2023年 | 250万円 (350万円※2) |
三世代同居リフォーム | 2022年・2023年 | 250万円 |
長期優良住宅化リフォーム① | 2022年・2023年 | 250万円 (350万円※2) |
長期優良住宅化リフォーム② | 2022年・2023年 | 500万円 (600万円※2) |
※1:入居年ではなく工事完了年が要件になります
※2: 太陽光発電システムを設置する場合の限度額
耐震リフォーム
耐震リフォームは、現行の耐震基準である「新耐震基準」を満たすための工事です。新耐震基準は昭和56年6月1日に施行されているため、それ以前に建築された家屋が対象となります。
具体的には、柱と柱に筋交いを施工する、壁に耐震パネルを施工する、屋根材を軽量化するなど、さまざまな方法があります。
主な要件 | 内容 |
工事の内容 | 現行の耐震基準を満たすための工事 |
その他の条件 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋 |
控除対象限度額 | 250万円 |
瓦屋根から金属屋根にするなど耐震を意識したリフォームの際は、ぜひ減税制度の活用も視野にいれましょう。
バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームは、高齢者や障がい者を含む家族全員が安全に暮らせるようにするための工事です。
手すりを取り付ける、段差を解消する、滑りにくい床材に張り替える、出入り口の戸を改良する、通路幅を広くするなどの工事があります。居室をはじめトイレやお風呂なども該当するため、取り入れやすいリフォームといえるでしょう。
主な要件 | 内容 |
工事の内容 | 手すりの設置、階段の撤去などバリアフリー化に関する工事 |
その他の条件 | 本人または同居の親族にバリアフリー化が必要なこと |
控除対象限度額 | 200万円 |
近年は、段差のないお風呂にリフォームする方が増えてきています。
省エネリフォーム
省エネリフォームは、家の断熱性を上げたり、省エネにつながる機器やシステムを導入したりして住宅の省エネルギー化を図るための工事です。リフォーム後の断熱等性能等級が4以上になることが条件とされています。
具体的には、床、天井、壁、窓の断熱工事、太陽光発電システムの導入、高効率の空調や給湯器の設置など。
窓断熱に関してはこれまで、「全居室の全窓の断熱改修」が条件でしたが、今回の税制改正で、「窓の断熱改修工事」に緩和されています。
主な要件 | 内容 |
工事の内容 | 床、天井、壁、窓などの断熱改修で、省エネ基準を満たす工事 |
その他の条件 | – |
控除対象限度額 | 250万円(350万円※) |
三世代同居リフォーム
三世代同居リフォームは、親・子・孫の三世代同居を前提に、暮らしやすい住環境にするための工事です。
具体的には、キッチン、お風呂、トイレ、玄関の増設が該当し、このうち2つ以上が複数ある状態になった場合に対象となります。たとえば、キッチンとトイレを増設する、もともとトイレは2つありキッチンだけ増設する、といったイメージです。
主な要件 | 内容 |
工事の内容 | 同居するのに必要な設備を増設する工事 |
その他の条件 | – |
控除対象限度額 | 250万円 |
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化リフォームは、住宅の耐久性を上げる工事のことです。一定の耐震リフォームまたは省エネリフォームと併せて行い、リフォーム後に長期優良住宅(増改築)認定を取得することが条件となっています。
「耐震or省エネ+耐久性向上の工事」のパターンと「耐震+省エネ+耐久性向上の工事」の2パターンがあります。後者の3つすべての工事を行なった場合の控除対象限度額は500万円と高額です。
主な要件 | 内容 |
工事の内容 | リフォーム後に一定の性能(劣化・耐震・省エネ)を満たす工事 ①耐震or省エネ+耐久性 ②耐震+省エネ+耐久性 |
その他の条件 | – |
控除対象限度額 | ①250万円 (350万円※) ②500万円 (600万円※) |
耐震性、省エネ性を意識した大掛かりなリフォームを希望する場合はほぼ該当すると思っていいでしょう。
リフォームの確定申告に関するよくある質問
ここでは、確定申告をしてリフォームの減税制度を利用する際に、お客様から聞かれることの多い質問をまとめました。申告のタイミングや必要な書類などについて解説します。
いつまでに確定申告すればいい?
「工事が完了した日」あるいは「工事契約書の日」の翌年に、税務署で確定申告を行います。
確定申告の期限は原則として、毎年2月16日〜3月15日の1ヶ月間です。2022年の5月にリフォームをした場合も、11月にリフォームした場合も、2023年の2月16日〜3月15日までに申告をする流れとなります。
住宅ローンを利用した場合で複数年にわたり控除を受けるときは、初年度は確定申告、以降は年末調整でOKです。年末調整を受けている給与所得者の方の場合は、1回の手続きで減税制度を利用できるということですね。
ただし、個人事業主・自営業の方は毎年確定申告が必要です。
リフォーム費用は経費にできる?
個人事業主の方や副業されている方などで事業収入がある場合、経費が多ければ節税効果は高くなります。そのため、工事費用が少額だった場合、「リフォーム費用は経費になりますか?」と聞かれることも。
リフォームは経費か資産かで判断が難しいところですが、基本的には経費にならないと考えておいたほうが安心です。
ただし、資産に計上した場合でも、青色申告の30万円未満まで適用される「少額減価償却資産」という制度を利用することで、備品消耗品費として一括経費にすることは可能です。
リフォームの内容と金額に応じて、適切に判断していきましょう。
確定申告に必要な書類
取得先 | 必要な書類 |
税務署または国税庁HPより | 控除額の計算明細書 |
金融機関より | 借入金の年末残高等証明書 |
法務局または役所より | 登記簿(全部事項証明書) |
リフォーム会社より | 増改築等工事証明書 |
その他 | ・源泉徴収票など所得を計算するために必要な書類 ・生命保険料の証明書(ハガキ)など所得控除で必要な書類 ・マイナンバーカードまたは通知カード ・身分証明書(運転免許証やパスポートなど) ・印鑑 |
リフォームの減税制度を利用するときは、上記の書類を揃えて確定申告を行います。
耐震リフォームの場合は、リフォーム会社の「増改築等工事証明書」のほかに、地方公共団体の「住宅耐震改修証明書」でも証明が可能です。いずれの場合も、依頼しなければ発行されない書類のため、忘れずに申し出ましょう。
申告期限に間に合うよう、早めに準備するのがポイントです!
固定資産税の税控除では確定申告は不要
一定の要件を満たすリフォームをした場合は、所得税の控除だけでなく、固定資産税の減額も受けられます。固定資産税の場合は税務署への確定申告は必要ありませんが、工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ所定の手続きが必要です。
減税の対象となるリフォームは、耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化リフォームの4つです。減額期間は1年度分で、軽減額は固定資産税額の1/3〜2/3の範囲となります。こちらも忘れずに手続きしましょう。
リフォームの確定申告まとめ
リフォームした翌年に確定申告することで所得税の減税を受けられます。減税制度を活用するのであれば、いつまでに何を準備すればいいのか、あらかじめスケジュールを立てておくと安心です。
また、対象となる工事は細く指定されているものの、工事の領域は広いため、比較的大きなリフォームであれば何かしらに該当することが多いでしょう。
鈴与ホームパルでは、今回ご紹介した耐震、バリアフリー、省エネ、三世代同居、長期優良住宅化リフォームのすべてに対応できます。鈴与グループの信頼にかけて責任持ってプランを設計し、工事を進めさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
リフォーム以外のお話も通じて、ご家族の暮らしに合った最適なご提案させていただきます!
この記事のポイント | ・リフォーム後の確定申告では、 「住宅ローン減税」と「特定リフォームに関する減税」の2種類がある ・給与所得者の場合は確定申告は初年度のみ、 翌年以降は年末調整で対応 ・個人事業主や自営業の方は、毎年確定申告が必要になる |